【7月22日 東方新報】中国では、モバイル決済がすっかり庶民の生活に溶け込んだ感がある。市場や屋台でさえ、モバイル決済用のQRコードが用意されており、現金を持ち合わせなくてもスマホさえあれば飲食にも困らない。コロナ禍では、ショッピングモールやレストランに入る際、さらに厳しいときは自宅に帰るのにもスマホで表示される「健康コード」を見せる必要があった。もはや中国での生活にスマホは欠かせない。

 その中国でハイエンドスマホ、中でも折りたたみ式スマホの成長が見込まれているという。香港に本部を置くカウンターポイントリサーチが最近発表したリポート「中国高級スマホ市場白書」は、中国のハイエンドスマホ市場に十分な拡大の余地が残されており、国内のスマホブランドが製品の高品質化を目指している実態を指摘している。

 リポートによれば、中国におけるスマホの出荷台数は2017年から下降傾向にあるものの、ハイエンドスマホにおいては需要が増えつつある。2022年にはハイエンドスマホの販売量がスマホ市場全体の26%以上を占め、2023年には4000元(約7万7710円)以上のハイエンドスマホが7500万台以上に達する見込みだ。

 中国のハイエンドスマホ市場規模は、2018年に欧州を抜いて世界2位に躍り出た。2022年には40種を超えるフラッグシップモデルが発表されており、同リポートは「中国のハイエンドスマホ市場は世界的にも最も活気があり、多元化している」とすると共に、「中国は製造量のみならず、技術革新においても高い水準にあり、世界のスマホ技術や商品開発をけん引する立場にある」とも指摘している。

 国内ブランドがハイエンド化でのブレイクスルーを目指し、こぞって参入しているのが折りたたみ式スマホだ。2022年だけでも15の新機種が発売された。オッポ(OPPO)に続き、栄耀(HONOR)、Vivoなど国産ブランドは絶えずラインナップを増やしていて、中国の折りたたみ式スマホはすでに多ブランド間でも競争時代に突入したと言える。2023年の折りたたみ式スマホの出荷台数は500万台を突破する見通しという。

 こうした中で、最新の折りたたみ式スマホ「栄輝Magic V2」の発売が発表された。価格は8999元(約17万4828円)から。売りの一つは、折りたたみ式でありながら従来のスマホと変わらぬ薄さ。折りたたみ式スマホの課題は厚さの克服だったが、折りたたみ部をつなぐヒンジの改良や宇宙開発技術に使われるチタン合金の3Dプリンター技術などにより、薄さと強度の両立を可能にしたという。

 栄輝の趙明(Zhao Ming)CEOは「ライバルは他社の折りたたみ式スマホではなく、スマホの覇者・米アップル(Apple)のiPhone14や間もなく発売予定のiPhone15シリーズだ」と鼻息が荒い。現在アップルは、折りたたみ式スマホを発売してはいないが、趙明CEOは「スマホの進化系が折りたたみ式。栄輝Magic V2をきっかけに、アップルが折りたたみ式スマホに参入、追随者とならざるを得ないかもしれない」と自信を見せる。

 勢いに乗る中国発の折りたたみ式スマホがゲームチェンジャーになるのか、目が離せない。(c)東方新報/AFPBB News