【7月11日 AFP】女子テニス協会(WTA)は10日、ウクライナの選手が母国への侵攻に抗議してロシアとベラルーシの選手との試合後の握手を拒否していることについて、観客に対して「理解と尊重」を求めるとする声明を出した。ウクライナ選手の握手拒否の方針を公に説明すべきだとする声に応えた形だ。

 現在開催中のウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2023)では、9日に行われた女子シングルス4回戦で、ベラルーシ出身のビクトリア・アザレンカ(Victoria Azarenka)がウクライナのエリナ・スビトリーナ(Elina Svitolina)に敗れた試合後に、観客からブーイングを浴びせられる出来事があった。

 普段通り試合後の握手をしなかったスビトリーナに対し、アザレンカは手を挙げてリスペクトを示したように見えたが、コートを去る際には一部の観客からブーイングが起こった。

 これを受け、スビトリーナは試合後、「何が起こっているのか、よく分かっていない人もいるのかもしれない」と指摘し、統括団体などがウクライナ選手の立場を説明すべきだと主張。また、アザレンカと同じくベラルーシ出身のアリーナ・サバレンカ(Aryna Sabalenka)も10日、スビトリーナの提案に賛成し、「ヘイト」から選手たちを守る必要があると訴えていた。

 一方、ウィンブルドンを主催するオールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ(AELTC)のサリー・ボルトン(Sally Bolton)最高経営責任者(CEO)は、「選手が試合後にどう反応するかは、テニス界では伝統的に完全に個人の判断だ」と述べ、大会として声明を出す予定はないとしていた。(c)AFP/John WEAVER