【7月10日 AFP】フランス・パリで8日、2016年に警察の拘束下で死亡した黒人男性の追悼デモの最中に、死亡した男性の弟が警察に拘束され、負傷した。

 フランスでは先月、警察の停車命令を無視した17歳の少年が射殺され、2005年以降で最悪の暴動に発展。依然として緊張状態が続いている。

 アダマ・トラオレ(Adama Traore)さん(当時24)の追悼デモは8日、各地で行われた。弟のユスフ(Youssouf Traore)さん(29)は約2000人が参加したパリでのデモの最中に警察に拘束された。

 複数の目撃者が撮影した動画には、抵抗したユスフさんが警官らにタックルされ、腹ばいの状態で拘束される様子が映っている。

 警察筋によると、逮捕の際にユスフさんは目を負傷。警察署内で体調不良を訴え、病院に搬送された。ユスフさんは9日に退院した。

 同日行われた、デモで逮捕された別の男性の支持集会に姿を見せたユスフさんの右目は腫れていた。

 AFPが確認した診断書によると、ユスフさんは鼻骨骨折、目の周りに青あざができる頭部外傷に加え、胸、腹、腰に打撲傷を負った。

 ユスフさんの弁護士は、意図的な暴力であり被害届を出したと話した。

 関係筋によると、ユスフさんはデモの開始時に警官を殴ったことから公務員に対する暴力の容疑で逮捕された。

 ユスフさんは、自分は「不正」の被害者であり、警官を攻撃したりはしてないと主張している。

 パリ検察は、ユスフさんに対する捜査は「続いている」と述べた。(c)AFP