【7月2日 AFP】メキシコの首都メキシコ市にある自動車整備工場は、グルメツアーの人気スポットとなっている。タコスレストラン「エル・ビルシト(El Vilsito)」が併設されているからだ。

 油まみれのオーバーオールを着た修理工と、エプロン姿のシェフの職場を隔てているのは薄い壁一枚だ。

 観光客が夢中で食べているのは、定番のタコス・アル・パストール。スパイス液でマリネして焼いた豚肉の薄切り、同じく焼いたパイナップルとタマネギ、刻んだコリアンダーを小ぶりのトルティーヤに挟んで食べる。

 約2800店あるといわれるメキシコ市のタコススタンドやレストランの中でも、ナルバルテ(Narvarte)地区にあるエル・ビルジトは特別だ。「昼間と夜とでまったく違う」と米国から来た観光客は感嘆する。

 午前中は、整備士たちが車のボンネットを開けて作業している。昼ごろになると金属製のカーテンが上がり、作業場の隅にある大きなドアが開いて食事スペースが現れる。

 客席のすぐ隣のキッチンでは、スタッフが毎日百キロ単位の肉を調理する。

 客からはよく自動車修理工たちの副業かと聞かれるという。「工場の油をタコスに使っているのかと聞かれたら、『まさか!』と答えている」とマネジャーのイスマエル・オルティゴサさんは笑った。

 映像は6月撮影。(c)AFP