【7月5日 Xinhua News】中国河南省(Henan)文物考古研究院はこのほど、開封市(Kaifeng)尉氏県(Weishi)で後漢から明清時代の墓22基が見つかったと明らかにした。

 発掘プロジェクト責任者で同研究院研究員の樊温泉(Fan Wenquan)氏によると、鄭州航空港経済総合実験区のインフラ工事に伴い、昨年10月から探査・発掘を実施。同県岡李郷老荘師村の丘の上から、これまでに後漢時代の墓2基、宋代の墓12基、明清時代の墓8基が見つかっている。

 発掘現場の責任者を務める同研究院の常宏傑(Chang Hongjie)氏によると、宋代の墓群は丘の東側に位置し、北から南に向かってさまざまな形状の墓12基が分布。多くが階段状の墓道を備えた磚室墓(せんしつぼ、れんが墓室を築いた墓)で、墓道と封門(扉)、甬道(通路)、墓室からなり、墓門と墓室はいずれも擬木構造となっていた。常氏は「墓の構造や装飾、中国北部の中原地域(黄河中・下流域)における宋代の墓の研究成果を総合すると、墓はそれぞれ北宋前期、中期、後期のもので、一部は遼・金代と考えられる」と指摘した。

 墓室には豊かな装飾が施され、壁は花や鳥、神獣、家具、武器、人物などが描かれた彩色壁画で飾られていた。常氏は「墓室には木を模した戸や窓、椅子2脚やテーブルなどの家具もあり、テーブルの上には酒器や食器、食盒(しょくごう、重箱)、酒壺、急須が置かれていた。はさみやアイロン、ハンガー、衣装だんすなど生活用具もそろっていた」と説明。墓室内の配置は被葬者の生前の日常生活を再現しており、宋代の社会生活や埋葬習慣を反映していると述べた。

 樊氏は「当時の人々は、墓の場所だけでなく、外観から内部まで実際の住居に近いデザインや配置にこだわったようだ。河南省では宋代の墓が多数見つかっているが、家族墓は非常に珍しい。今回見つかった墓は、当時の文化を知る大きな手掛かりとなり、学術的価値や展示価値が高い」と語った。(c)Xinhua News/AFPBB News