【7月1日 東方新報】中国の日系企業はコロナ禍が深刻だった時期でも6割強が黒字を果たし、9割以上が今後も中国での事業展開を「維持」「拡大」すると回答している。

 日系企業などで構成される中国日本商会が発表した「中国経済と日本企業2023年白書」によると、2022年8~9月に日系企業にアンケートした結果、同年の営業利益見込みが黒字という企業は64.9%に達した。また、今後1~2年内の中国での事業展開について、60.3%が現状維持、33.4%が「拡大する」と回答。逆に「事業の縮小」「第三国への移転・撤退」は計6.3%にとどまった。

 中国での事業を「維持・拡大」とした日系企業が計93.7%に達したことについて、パナソニック(Panasonic)副社長で中国日本商会会長の本間哲朗(Tetsuro Honma)氏は「大変、心強い」と評価。事業拡大を志向する企業の割合も「米国や欧州の企業と比べて遜色水準」と語った。

「中国経済と日本企業白書」は2010年から刊行されており、2023年版は日系企業8353社を対象に調査している。白書では、昨年12月に中国で新型コロナウイルス対策が大幅に緩和されたことで、コロナ対策が中国事業に与える影響や日中間の往来に関する課題は「ほとんど解決した」と評価している。

 日本と中国が、経済で「ウインウイン」の関係を築くことを期待する日系企業は多い。

「日本と中国はともに自動車大国です。両国が手を携えて世界の自動車産業の発展をリードし、世界の自動車所有者に利益をもたらしたい」

 中国南東部・福建省(Fujian)を拠点とする漳州矢崎汽車配件有限公司の小溝健一郎(Omizo Kenichiro)総経理は、中国メディアの取材にこう答える。同社は、ワイヤハーネスで世界トップを誇る矢崎総業(Yazaki)の子会社。中国で自動車の配線に使われるワイヤハーネスを生産し、従業員数は2000人を超える。

 小溝氏は「わが社のワイヤハーネスの60%は中国に供給しています。中国は人口が多く、市場の潜在力と爆発力は大きい」と話し、中国の経済成長に期待を寄せている。

 5月10日には上海市臨港新片区で、日本と中国の水素関連企業など約80社が集まった「2023日中経済協力シンポジウム-中日水素産業交流会-」が開かれた。在上海日本国総領事・大使の赤松秀一(Shuichi Akamatsu)氏は「日中両国はカーボンニュートラル達成という共通の課題に向き合っている。日本は水素の製造技術で世界をリードしており、中国も水素エネルギーの研究開発に取り組んでいる」と強調。「両国の国民の強い絆と企業間の交流を基盤に、手を携えて前進していきたい」と述べた。

 上海市人民対外友好協会の陳靖(Chen Jing)会長も、「水素エネルギー産業における広範な協力を推進していきたい」と話している。(c)東方新報/AFPBB News