【6月28日 CNS】先日、中国の名酒メーカー「貴州茅台酒(Kweichow Moutai)」が発売した「茅台アイスクリーム」が、国内市場での販売数1000万杯という驚異的な数字を記録した。この1年前に登場し、異業種コラボで生まれた製品が再び注目を集めている。「名酒+アイスクリーム」の組み合わせは、中国の若者たちの買い物リストにこっそりと加わっている。

「茅台アイスクリーム」とは、通常のアイスクリームに一定量の酒を加え、芳醇でコクのある茅台酒と爽やかなミルクアイスクリームを融合させた新たなアイス製品だ。

 茅台アイスクリームが初めて登場すると、中国の若い消費者の多くを引き付けることに成功し、一時的な供給不足を引き起こし価格が急騰した。最初のブームが徐々に収まる中で、茅台アイスクリームは一過性のものと見られたこともあった。しかし最新のデータは、「名酒+アイスクリーム」の組み合わせの購入意欲をもつ若い消費者がますます増えていることを示している。

 統計によれば、茅台アイスクリームの累計販売数は発売から1年で約1000万杯となり、売上高は約6億元(約118億8510万円)に達した。この製品が売上実績とブランド評判の両方で急速に成長する中、貴州茅台酒の丁雄軍(Ding Xiongjun)董事長は上場1周年記念式典で、茅台アイスクリームが茅台産業エコシステムにおいて代表的な最先端製品となったことを宣言した。

 実際のところ、中国の若者の多くは盃を交わす伝統的な酒文化にはあまり興味を持っておらず、「自分自身を楽しませる」飲酒スタイルを好んでいる。

 分析家によれば、「名酒+アイスクリーム」が市場で目覚ましい成績を収める理由は、それが中国の若い消費者心理に合致しているからだという。高級な名酒を飲むことは、消費者自身の品質追求や文化的ニーズの満足を示すだけでなく、新しい社交圏に溶け込み、コミュニティの承認と自己満足を得るための手段となる。

 そして近年、アイスクリームは中国の若者の間で高い人気を博し、最も急速に成長している日常消費品の一つとなっている。両者の組み合わせによって、本来高価な名酒が若者の好みに合った形式と受け入れ可能な価格で再パッケージングされ、販売されるようになった。

 頼みの綱である若者消費市場をさらに強固なものにするため、成功を収めた茅台グループは味や種類での二重のイノベーションを続けている。現在、茅台アイスクリームは六つの異なる味の製品を発売し、酒入りチョコレート、アルコールドリンク、棒アイス、ソフトクリームなどの製品の開発も相次いでいる。

 これらの製品は29元(約574円)から66元(約1307円)までの価格帯で、酒の添加量は1.6%から2%程度。ちょうど中国の若い世代の「ライト飲酒」のニーズに合致している。そして、自分自身がアイスクリームを持つことで、彼らはリラックスして快適な気分になることができる。(c)CNS/JCM/AFPBB News