【6月10日 AFP】フランス北部オワーズ(Oise)県の特別少年裁判所は9日、2019年に交際相手の15歳の少女をナイフで刺した後、生きたまま火を付けて殺害した男(事件当時は17歳)に対し、禁錮18年の有罪判決を言い渡した。

 男は、被害者のシャイナさんをパリの北に位置する町クレイユ(Creil)の小屋に誘い出して殺害したとして有罪を言い渡された。検視では、ナイフによる「多数の傷」が確認された他、火を付けられた時、シャイナさんがまだ生きていたことも判明した。

 事件当時、男は高校生、シャイナさんは中学生だった。男の身元については、特定できないよう報道規制が敷かれている。

 捜査当局によると、シャイナさんは当時、妊娠初期だったとみられ、家族は、シャイナさんのハンドバッグの中から陽性反応が出た妊娠検査薬を発見していた。シャイナさんは男が父親だと考えていたとみられる。

 検察は、男が自身の体面を保ち、両親に見放されるのを防ぐために「すべてを破壊しようとしていた」と主張。「あらゆる段階で計画的」な犯行だったとして禁錮20~30年を求刑していたが、量刑判断では男が未成年だった点が考慮された。

 シャイナさんの兄ヤシンさんは裁判所で怒りの涙を流しながら、「18年! これがフランスの司法だ」と訴えた。男と緊迫したやり取りをすると崩れ落ち、病院に搬送された。

 男は一貫して無実を主張しており、4時間の審議の末に判決を言い渡されると「なぜ、なぜなんだ」「あなた方は間違っている。私は無実だ」と訴えた。

 男の弁護人は、上訴の可能性に言及するのは「時期尚早」としている。

 一方、シャイナさんの家族の担当弁護士は、男は未決勾留日数の算入と減刑により「8年」で出所する可能性があると指摘し、「司法は女性に対する暴力に無関心だ」と語った。

 公式の統計によると、フランスでは3日に1人のペースで女性がパートナーや元パートナーに殺害されている。(c)AFP/Valérie AURIBAULT with Elia VAISSIERE in Lille