【6月6日 AFP】オーストラリアで5日、実子4人を殺害したとして20年間服役していたキャスリーン・フォルビッグ(Kathleen Folbigg)さん(55)が、遺伝子学的調査を経て恩赦を受け、釈放された。フォルビッグさんは翌日、「科学の勝利」だと謝意を示した。

 フォルビッグさんは、1989~99年の別々の時期に死亡した乳児4人を殺害したとして有罪判決を受け、2003年に収監された。ただし、4人の死に関与したことを示す法医学的証拠はなく、フォルビッグさんは獄中から無実を訴え続けていた。

 近年行われた科学的調査で、亡くなった子のうちの数人から死因となった可能性のある遺伝子変異が見つかり、今回の恩赦につながった。

 フォルビッグさんは恩赦後初となるメッセージを動画で出し、「科学、そして真実の勝利」だと謝意を示した上で、子どもたちのことを「永遠に」悼み、愛し、会いたいと願い続けるだろうと心境を吐露した。

 フォルビッグさんは自由の身となったとはいえ、有罪判決を正式に撤回させるには別の法的手続きが必要になる。

 弁護人は報道陣を前に、オーストラリアの司法システムは「あらゆる段階で不適切だった」と指摘。再審までに時間がかかり過ぎたと当局を批判した。

 さらに、「なぜ子どもたちが死んだのか、調査などを通じて理解する努力を怠ったばかりか、(フォルビッグさんを)投獄し、豪史上最悪の女の連続殺人犯呼ばわりした」と述べ、「もし国がこの悲劇から何か学びたいと本気で考えるのならば、有罪確定後の再審請求システムの見直しを真剣に検討すべきだ」と訴えた。(c)AFP