【6月6日 AFP】ブラジルからドイツに違法に持ち出されていた新種の恐竜の化石が5日、返還された。ほぼ3年にわたり両国間で外交問題にも発展していたが、終止符が打たれた。

 返還されたのは1億1000万年前に南米大陸に生息していた、原始的な羽毛と肩から飛び出る棒状の構造物を持つ小型恐竜の化石。重さは11.5キロ。恐竜は新種で、「ウビラヤラ・ジュバトゥス(Ubirajara jubatus)」と名付けられている。

 化石は1990年に北東部セアラ(Ceara)州で発見され、研究のためドイツに運ばれていた。

 2020年になってブラジルの研究者が、ドイツへの持ち出しは違法だと声を上げ、ソーシャルメディアで返還を求める運動を展開するなどしていた。

 ブラジルの法律では、国内で見つかった化石は国の所有物となる。外国人研究者が国外に持ち出せるのは、ブラジルの研究機関との共同研究によるものに限られる。

 化石はこの日、首都ブラジリアを訪れたアナレーナ・ベーアボック(Annalena Baerbock)外相率いるドイツ外交団によって返還された。今後、セアラ州内の大学の古生物学博物館に収蔵される。(c)AFP