【5月29日 AFP】28日に開幕した全仏オープンテニス(French Open 2023)の女子シングルス1回戦で、ベラルーシのアリーナ・サバレンカ(Aryna Sabalenka)との試合後の握手を拒否したウクライナのマルタ・コスチューク(Marta Kostyuk)に対して、観客がやじとブーイングを浴びせる出来事があった。

 コスチュークは以前から、母国ウクライナに侵攻したロシア、さらに同盟国ベラルーシ出身の選手が大会出場を続けていることを激しく批判しており、昨年の全米オープン(US Open Tennis Championships 2022)でもベラルーシのビクトリア・アザレンカ(Victoria Azarenka)との握手を拒否。今回もサバレンカと握手はしないと事前に宣言していた。

 コスチュークは観客の行動に疑問を呈し、「10年後、戦争が終わったときの人々の反応を見てみたい。彼らの行為を良くは思わないだろう」と話すと、「予想外だった。みんな恥ずかしいと思うべきだ」と続けた。

 サバレンカは対戦が決まり、握手拒否の意向を知った時点で「憎まれていても仕方ない」と話し、さらに「ロシアの選手も、ベラルーシの選手も、誰も戦争を支持してなどいない」と主張していた。

 しかしコスチュークは「彼女が個人として、不支持を表明するのは聞いたことがない」「戦争を支持しているテニス選手がいるのを個人的に知っている」と反論すると、「世界の無数の人が目にするプラットフォームを持っている中で、この世で最も重要な話題について自分の意見を言う責任を回避しているのだから、尊重はできない」とコメント。「アリーナ・サバレンカや、誰か選手を憎んでいると言ったことはない。ただ、彼女の姿勢を尊重できないだけ」と述べた。

 一方のサバレンカは、「最初は自分に向けられたブーイングかと思った」と困惑したことを明かしつつ、「私たちと握手をしたら、ウクライナ側から何をされるか分からない」とコスチュークの態度に理解を示した。

「個人に向けた行為ではないのも分かっている。彼女があんなふうな去り方をしなければならなかったのはおかしい」

 試合は世界ランキング2位で、全豪オープン(Australian Open Tennis Tournament 2023)女王のサバレンカが6-3、6-2で快勝し、自身初の全仏2週目の進出へ向けて好調な滑り出しを切った。 (c)AFP/Dave JAMES