【5月22日 AFP】第76回カンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)で21日、20世紀の最も重要な映画監督の一人、ジャン=リュック・ゴダール(Jean-Luc Godard)氏の遺作が上映された。雨が降る中、会場には多数のファンのみならず、米国のジム・ジャームッシュ(Jim Jarmusch)監督やメキシコ人俳優のサルマ・ハエック(Salma Hayek)、中国の王兵(Wang Bing)監督らも姿を見せた。

 1930年にフランスとスイス出身の両親の間に生まれたゴダール氏は、91歳を迎えた昨年、自殺ほう助を選択し、死去した。

 この日は、遺作となった短編映画『Droles de Guerres(原題、英題:Phony Wars)』と共に、ゴダール監督に関する新作ドキュメンタリーが上映された。

 短編映画は、音楽に合わせて映像とテキストがコラージュされたもので、美しく、かつ難解さを増した晩年の作風を示す作品となっている。

 ドキュメンタリー映画『Godard par Godard(原題、英題:Godard by Godard)』は、さまざまな世代の監督にインスピレーションを与えた初期作品『勝手にしやがれ(原題:A bout de souffle、英題:Breathless)』『はなればなれに(原題:Bande a part、英題:Band of Outsiders)』などから長いキャリアの主立った逸話をたどり、仕事やインタビューで同氏が見せた遊び心あふれる一面を捉えている。

 ゴダール氏が「五月革命」の真っただ中に開催された1968年のカンヌ映画祭で、学生たちに連帯して映画祭の中止を呼び掛ける姿が映し出されると、自然に拍手が湧いた。

 今年の開催をめぐっては、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領の年金改革に関連した不穏な動きが懸念されているが、今のところ混乱はほとんど見られない。

 同ドキュメンタリーの脚本家で、パリにある映画博物館「シネマテーク・フランセーズ(Cinematheque Francaise)」の代表を務めるフレデリック・ボノー(Frederic Bonnaud)氏は、ゴダール作品は「本や映画の中で生き続け、これからも新たな観客を獲得するだろう」と話した。(c)AFP/Emilie BICKERTON