【5月21日 AFP】今週、戦国がテーマの新作でカンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)にカムバックする北野武(Takeshi Kitano)監督(76)。東京都内でAFP通信のインタビューに応じ、今は成功に対して「無関心でいたい」と語った。

 コメディアンとして名をはせた後、映画監督として高い評価を獲得し、海外ではカルト的な存在の北野氏。現在は自分なりのやり方で物事を進めていると言う。

「海外でのそういう評価があって、こっちとしてはうれしいけれど、なるべく無関心でいたい」と、フランス・カンヌ(Cannes)への出発を前に語った。

「無関心で撮ったものに対して、そういう評価が出てくるなら非常にうれしい。だからといってこっちから擦り寄るようなことは一切ない」

 俳優や作家、画家の他、「風雲!たけし城」のような番組のホストなど多彩なキャリアを持つ北野氏にとって、『首(KUBI)』は6年ぶりの長編作品となる。

 日本映画の巨匠、黒澤明(Akira Kurosawa)監督の大ファンであるにもかかわらず、『首』を撮影するにあたり、黒澤監督の名作『七人の侍(Seven Samurai)』や『乱(Ran)』にあるような合戦シーンを見ることはあえて避けたと言う。

「影響を受けるの、嫌だから」と北野氏。

「影響されないよう、黒澤作品の合戦のシーンをなるべく見ないようにした。もし似ているのであれば、同じ感覚だったのかもしれない」

■引退について

『首』は、1582年に京都で起きた「本能寺の変」をテーマに描いた物語だ。

 作品は映画祭のコンペティション部門には出品されていないが、プレミア上映される予定となっている。

 北野氏にとっては、『アウトレイジ(原題、Outrage)』がパルムドール(Palme d'Or)を争うコンペティション部門に出品された2010年以来の映画祭参加となる。

「テレビも映画もみんなずっとやめようとしてた」と話す北野氏。別荘を購入したことの他、ゴルフをするなどのんびり過ごす時間についても触れた。

「今回の映画もこれで最後にしようかと思っていた。けれど撮り終わって役者とか、スタッフの評判がいい」

 制作スタッフと役者が評価してくれて、喜んでくれることが「一番最高」だと北野氏は言う。