【5月2日 AFP】フランスのブリュノ・ルメール(Bruno Le Maire)経済・財務相が先週出版した小説にある、露骨な性描写を含む一節がインターネット上で拡散した。経済の危機的な状況が続く中、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)政権の主要閣僚による執筆活動が物議を醸している。

 2017年のマクロン政権発足以来、経済・財務相を務めているルメール氏は27日、13冊目の小説「Fugue americaine(原題、「アメリカン・フーガ」の意)」を発表した。

 フランスではここ数か月にわたり、年金受給開始年齢引き上げを含む年金制度改革法をめぐり全土で激しい抗議デモが発生。ルメール氏は政権の先頭に立ち、年金改革の必要性を説明してきた。

 さらに、燃料価格の上昇やロシアのウクライナ侵攻に伴う生活費高騰で国民の生活は圧迫されており、ルメール氏はその対応も迫られている。

 こうした中で発表された同氏の小説はまったくの別世界だ。とりわけ注目されたのが、主人公兄弟の一人の露骨なセックスシーンを描いた場面で、ソーシャルメディアで広く拡散し、嘲笑の的となっている。

 急進左派政党「不屈のフランス(LFI)」のフランソワ・リュファン(Francois Ruffin)議員は、国民が「大きなインフレ不安」を抱えている時に、閣僚が「1週間、1時間、1分でも本の執筆に時間を割いている場合ではない」と批判した。

 マクロン政権では先月にも、マルレーヌ・シアッパ(Marlene Schiappa)社会的連帯経済・市民活動担当長官が米男性誌プレイボーイ(Playboy)仏版のグラビアを飾ったこともあり、コミュニケーション能力を疑問視する声が強まっている。

 ルメール氏はツイッター(Twitter)への投稿で「閣僚でありながら、いかにして執筆時間を見つけているのか」という点に多くのフォロワーが興味を示していることを認めた。

 その一方で、政府高官としての業務を全うする傍ら「個人としてのバランス」にも留意すべきであることを学んだと釈明。「ある人は美術館や映画館、コンサートやサッカーに行き、ある人はガーデニングやハイキングをする。私にとってはそれが書くことだ」「早起きや夜更かしをしたり、週末や休暇を費やしたりするだけの価値がある、必要なことなのだ」と述べた。(c)AFP/Herve ROUACH