【5月1日 AFP】米ニューヨーク在住のラルフ・ノーマンさんの人生は、13年近く前、流れ弾の直撃を受けたことで大きく変わってしまった。全米で増え続ける、銃の暴力による被害者。ノーマンさんは四肢まひとうつに苦しめられる一方で、汚名を着せられることを恐れるようになった。

 事件当日、ノーマンさんは高校卒業を祝うために友人たちと外出。ニューヨーク郊外のガソリンスタンドに立ち寄った際、近くで発生した銃撃戦に巻き込まれた。

 流れ弾は首に当たった。14時間にわたる手術で一命は取り留めた。しかし、四肢まひという後遺症がもたらされた。

 辛うじて動かせるのは肩と頭だけ。食事、歯磨き、入浴など、常時介護が必要となった。呼吸用チューブにたまる唾液の排出にも助けが必要だ。

 事件後、車いすを使っている理由をずっと隠していた。

「2年前まで、撃たれたとは誰にも言わなかった。車の事故だと説明していた。事件当時、ギャングのメンバーではないかとの疑いを持たれ、嫌な思いをしたので」と、ノーマンさんはAFPに語った。

「銃暴力について口にするだけで、汚名を着せられてしまう」

 長年うつに悩まされていた。が、ある時、助けを求める決心をした。

 現在は、口で操作する機器を使ってコンピューターを使えるようになった。全米の他の銃の犠牲者と毎晩、ビデオチャットで意見交換している。

 経験を共有し合い、直面する現実と難題について話し合う。

 報道される銃暴力についても話題にする。取材前に米テネシー州ナッシュビル(Nashville)の学校で起きた銃の乱射事件にも触れた。この事件では、児童3人と教員2人、用務員1人が死亡した。

「実行犯たちが何を考えているのか、理解できない」と、ノーマンさんは言う。