【3月18日 AFP】アジア系米国人のリッキー・ラムさん(35)は、これまで銃には近づかないようにしていた。しかし今年1月にカリフォルニア州で起きた、アジア人コミュニティーを揺るがした2件の銃撃事件を受け、銃の所有について改めて考えるようになった。

 ラムさんはAFPの取材に、「まだ決めかねている。銃を購入するかどうかわからない。けれど今回の銃乱射事件では、決断しないといけないことを再認識させられた」と話した。

 ラムさんはロサンゼルス郊外で家族と暮らしている。今年1月にダンスクラブが銃撃され11人が死亡したモントレーパーク(Monterey Park)からもほど近い。

 モントレーパークの事件から2日後には、北カリフォルニアの農場で中国人の男(66)が発砲。7人が死亡した。犠牲者の多くはアジア系だった。

 アジア人コミュニティー内で起きた事件にラムさんは大きな衝撃を受けた。特にモントレーパークで起きた銃撃事件では、ラムさんの両親は被害者と面識があった。

 また近年では、新型コロナウイルスの流行と共に人種差別的な事件も増えており、ラムさんは銃との向き合い方について再考を迫られるようになった。

「両親は銃を持つのは縁起が悪いと言う」とラムさん。「でも、自衛には最適な道具だ。運任せにするよりも、自分の身は自分で守れる方がいい」と語った。

■非白人コミュニティーでの銃所有率が増加

 米人口の約6.6%はアジア系だ。銃器産業に詳しい専門家によると、正確な統計データは存在していないが、アジア系コミュニティーと銃とのかかわりはこれまであまり強くなかった。

 ギフォーズ銃暴力防止法律センター(Giffords Law Center to Prevent Gun Violence)のアレックス・グエン(Alex Nguyen)氏は、新型コロナのパンデミック(世界的な大流行)やアジア系に対するヘイトクライム(憎悪犯罪)とリンクする情勢不安や治安への懸念から、少数派のコミュニティーでは銃を購入する人が増えていると指摘する。

「コロナ禍以後、銃の所有率は全体的に増加しているが、アジア系を含む非白人コミュニティーでの増加率が最も著しい」