【4月21日 東方新報】今月開幕した中国最強のプロサッカーリーグ「スーパーリーグ」は、スポンサー離れが止まらない深刻な悩みを抱えている。プロスポーツにとって、スポンサーの減少は収入の減少に直結する。資金不足は中国人サポーターの悲願である中国代表の強化にも悪影響を与えかねない。

 中国サッカー協会によれば、今シーズンのスポンサー企業は、長くメインスポンサーでもある保険大手の中国平安保険(Ping An Insurance)の他、飲料メーカー怡宝(Cestbon)と雪佛竜潤滑油(Chevron)の僅か3社。スポンサー数として過去最低を記録した昨年の6社から、さらに半減した。

 この背景には、中国サッカー界を揺るがしているスキャンダルがある。昨年11月に男子代表の前監督、李鉄(Li Tie)氏が重大な規律違反の疑いという理由で調査を受けた。これが皮切りとなり、今年に入り中国サッカー協会の元幹部や現役トップにも調査が及んでいる。サッカー界が汚職にまみれていた可能性が出てきたのだ。

 スポンサー減少の理由は、新型コロナによる経済悪化も考えられるが、スキャンダルの影響も大きそうだ。中国サッカーのイメージは地に落ち、商業価値が著しく低下した。

 スーパーリーグは2010年頃から、多数のスポンサーから資金提供によって外国人のコーチや選手を大勢招聘(しょうへい)し、最盛期を迎えた。版権料は5年間で80億元(約1560億円)と跳ね上がり、各チームへの分配金は毎年数千万元(約1億9507万円)に上った。しかし、昨シーズンの分配金は800万元(約1億5606万円)と最盛期に比べると2割程度まで減額されたという。

 中国サッカー協会も財政難に苦しむ。スーパーリーグの版権と商業的利用権を有する同協会だが、この2年間で財政上の損失が5000万元(約9億7537万円)に達したという。同協会は、中国代表男子の監督としてセルビア出身のアレクサンダル・ヤンコビッチ(Aleksandar Jankovic)氏の就任を発表したばかりだが、監督交代に当たって最高200万ドル(約2億6772万円)の給料しか出せず、最終的に一番「安い」同氏を選出せざるを得なかったという事情もあったようだ。同協会は次年度の財政報告でも赤字がほぼ確実と見られている。

 今年のスーパーリーグは何とか順調に運営されそうだが、今後、中国サッカー界が信用を取り戻せなれば先行きは不安だ。先のワールドカップ・カタール大会でアジア勢として快進撃を見せた日本代表に称賛を惜しまなかった中国人サポーターだって、いつかは自国代表に思いっ切り喝采を浴びせてみたいはずだ。(c)東方新報/AFPBB News