【4月30日 AFP】3月のある晴れた午後、米首都ワシントン郊外で10人ほどの男性がせっせと編み針を動かし、編み物に没頭していた。編み物クラブ「DCメン・ニット(DC Men Knit)」のメンバーだ。

 米国では新型コロナウイルス禍を経て、編み物人気が再燃している。

「DCメン・ニット(DC Men Knit)」のメンバーは月2回、首都に集まってスカーフや帽子、毛布などを編んでいる。リラックスしたり、友情をはぐくんだりするのが目的だ。

 歴史的には男女ともに楽しんでいた編み物を男性の手に取り戻すことができたらとも考えている。

 クラブのコーディネーターで、全米看護学校協会の事務長を務めるジーン・スロウ( Gene Throwe)さん(51)は「編み物はとても長い間女性のものと見なされてきたから、男性が集まって安心して編み物ができ、技術を教え合い、助け合う場所を提供したい」と話す。

 スロウさんは、何年も前から手掛けている繊細な金色の模様が入った茶色いセーターに最後の仕上げを施していた。

 スロウさんは、他の多くの編み物仲間と同じように、編み針で魔法をかける祖母を見て育った。編み物が現代的な趣味に取って代わられて行くのを見て、残念に思っていた。しかし、ある時気が付いた。「なんで女性に編み物をやってもらおうと考えているんだ。自分でやればいいじゃないか!」

「DCメン・ニット」のメンバーは、公共の場で集まると注目を浴びることが多いが、敵意や差別は感じない。

「まるで火星人に会ったかのような目で僕らを見てくるのはいつも、いかにもおばあちゃんという人なんだ」とスロウさんは笑った。じっと見た後に「何をしているのか」と質問をしてくるという。