■「おばあちゃん向けだけではない」

 歴史上、男性は常に編み物をしていた。中世には編み物ギルドで利益を得る人や、英国では第2次世界大戦(World War II)時に兵士に送る毛布を編む生徒もいた。

 編み物好きにとって、最近のブームは特別なことではない。

 氷点下に近い気温の中、半ズボンを履いてウエストポーチを着けたサム・バルスキー(Sam Barsky)さんは、典型的なインフルエンサーとは言えない。しかし、バルスキーさんのインスタグラム(Instagram)とティックトック(TikTok)には合わせて50万人近いフォロワーがいる。

 自称「編み物アーティスト」のバルスキーさんは、風景や自然、モニュメント、芸術作品からインスピレーションを得た個性的なデザインのセーターを、編み図なしで編むスタイルでファンを獲得している。

 バルスキーさんはナイアガラの滝(Niagara Falls)や古代遺跡ストーンヘンジ(Stonehenge)、ニューヨーク市の高層ビル群、ペンギン、ロボット、さらには児童文学作品の「オズの魔法使い(The Wizard Of Oz)」などを題材としたセーターを手掛けてきた。クリスマスだけではなく、誕生日やバレンタインデー、ユダヤ教の祭日ハヌカ(Hanukkah)など、ありとあらゆる行事や機会向けのセーターを編んでいる。

 自身の作品約30点をミニチュアにして編み込んだセーターもある。バルスキーさんの作品は、メリーランド州ボルティモア(Baltimore)にあるアメリカンビジョナリー美術館(American Visionary Art Museum)に展示されている。

 バルスキーさんは、ボルティモア北郊のコッキーズビル(Cockeysville)にある公園オレゴン・リッジ・ネーチャー・センター(Oregon Ridge Nature Center)でAFPに対し「編み物はおばあちゃんのためだけのものではない。性別や年齢を問わず、編みたいと思って、楽しんで編んでいるすべての人のものだ」と語った。

 新型コロナウイルス禍で移動制限がなされた際に、バルスキーさんはここで編み物を続けていた。