【4月29日 AFP】米カリフォルニア州で今月、野外音楽フェスティバル「コーチェラ・バレー・ミュージック&アートフェスティバル(Coachella Valley Music & Arts Festival)」が2度の週末にわたって開催され、砂漠地帯を訪れた数十万人を熱狂させた。その一方で、ごみも大量に発生している。

 会場にはプラスチックのカップやペットボトルなどが散らばり、まばゆい照明や爆音を発するスピーカーにより膨大な電力が消費されている。

 米国をはじめ、世界中で開催されている音楽フェスティバルは巨大ビジネスで、持続可能性をうたっていても、大抵は収益性が優先される。

 スウェーデンのルンド大学(Lund University)の気候学者キム・ニコラス(Kim Nicholas)氏は、こうしたフェスに参加するために移動する大勢の客やアーティスト、スタッフが排出するカーボンフットプリント(温室効果ガス排出量をCO2に換算した数値)を軽視してはならないと警鐘を鳴らす。

 そうしたカーボンフットプリントの方が「フェスティバルで使用されるエネルギーや、そこで発生するごみのものより、はるかに大きい」と言う。

「フェスのCO2排出量を削減し、本当の意味で持続可能にする最も重要な方法は、移動距離と、移動に伴う炭素強度(エネルギー消費量に対するCO2排出量)を減らすことだ」と話した。

 コーチェラ・フェスの開催地インディオ(Indio)は、ロサンゼルスから東に車で約3時間の場所にあり、主催者は車で相乗りしたグループには特典を与えるなどの取り組みを行っている。だが、会場を囲む畑は巨大な駐車場と化し、渋滞が何日も続く。

 ニコラス氏は、フェスは公共交通機関ですぐにアクセスできる場所で開催するべきだと主張する。例えば、ニューヨークのガバナーズ・ボール・ミュージック・フェスティバル(Governors Ball Music Festival)は、以前は市内の島で開催されていたが、最近になってクイーンズ(Queens)地区の野球スタジアムや公園に会場が移された。

 元々は新型コロナウイルスの感染対策による会場変更だったが、地下鉄でのアクセスが容易なことから定着した。

 ニコラス氏は、アーティストも率先して「CO2排出量の少ない移動の方がかっこいいと思わせる」行動を起こすべきだと訴える。

「プライベートジェット機で移動するのとは真逆の在り方で、そうした移動を社会的な目標や憧れにするのを過去のものにする」べきだと話す。