【4月18日 AFP】仏映画界を代表するスター俳優アラン・ドロン(Alain Delon)さん(87)の初めての伝記が来月5日、出版される。ドロンさんはその中で、自身の成功は「女性のおかげであり、女性のためのもの」だったと語っている。

 伝記のタイトルは「Amours et Memoires(愛と思い出)」。ドロンさん本人が本人が序文を寄せている他、ブリジット・バルドー(Brigitte Bardot)さん、ソフィア・ローレン(Sophia Loren)さん、ジェーン・バーキン(Jane Birkin)さんら友人や共演者のインタビューを掲載しており、自伝に近い内容となっている。

『太陽がいっぱい(Purple Noon)』(1960)や『サムライ(The Samurai)』(1967年)など、陰のある青年役でドロンさんが一世を風靡(ふうび)した1960年代の作品をはじめ、出演作を幅広く紹介。

 ドロンさんは『太陽が知っている(The Swimming Pool)』などで共演し、結婚・破局へと至ったロミー・シュナイダー(Romy Schneider)さんや、1964~69年に結婚していたナタリー・ドロン(Nathalie Delon)さんら人生を共にした多くの女性たちに感謝を表明。

「『俳優になりたい』と夢見たことはなかった。俳優を始め、続けたのは、女性のおかげ、女性のためだった」「愛は常に私を前進させてくれた」と記している。

 また自分を「鍛え、磨いてくれた」映画人として、『山猫(The Leopard)』(1963年)のルキノ・ビスコンティ(Luchino Visconti)監督や、『パリの灯は遠く(Mr. Klein)』(1976年)のジョセフ・ロージー(Joseph Losey)監督らを称賛している。

 その一方で、ドイツ人歌手ニコ(Nico)さんとの間にもうけたとされる子どもを認知しなかったことや、女性や実子に対する暴力疑惑、裏社会とのつながり、仏極右政党・国民連合(RN)への支持など、物議を醸したエピソードについては紙幅はあまり割かれていない。

 バルドーさんは同書に掲載された手紙の中で、ドロンさんを「ライオンの威厳、黒ヒョウの神秘性、オオカミの歯」を備えた俳優と評している。

 ドロンさんは序文をこんな表現で結んでいる。「もしあす死ぬとしたら、神の愛によってそれが成し遂げられますように(中略)人にはこう言われたい。『苦しんだこともあり、過ちも犯したが、愛にあふれていた』と」 (c)AFP