■リア・トーマス(競泳)

 米国水泳連盟(USA Swimming)は2022年2月、トランスジェンダー選手がエリートレベルの大会に出場するためのテストステロン値の基準を厳格化したが、この新ガイドライン策定のきっかけになったのは、大学女子水泳界を席巻していたリア・トーマス(Lia Thomas)の存在だった。

 男性として生まれ、2019年から性別移行を開始したトーマスは、身体的に不公平な優位性を得ているという批判を受けながらも、新規定導入から1か月足らずで行われた大会で優勝。大学スポーツを統括する全米大学体育協会(NCAA)が、連盟の新ルールを適用しないことを決めたため、実現した勝利だった。

 その後の6月、国際水泳連盟(FINA、現ワールドアクアティクス)は、トランスジェンダー選手が出場するための「オープンカテゴリー」を新設する意向を明らかにし、女子の部に出場できるのを「思春期前に女性となった」選手のみに制限した。

■エミリー・ブリッジズ(自転車)

 自転車トラックレースのトランスジェンダー選手、エミリー・ブリッジズ(Emily Bridges、英国)は、以前はザック・ブリッジズ(Zach Bridges)の名前で大会に出場していた有力選手で、国内連盟が定める基準をクリアしたとして、2022年の英国選手権出場を一度は認められた。

 ところがその後、国際自転車競技連合(UCI)からブリッジズには参加資格がないとの通達があり、一転して出場不可となった。英国自転車連盟はその1週間後、トランスジェンダー選手とノンバイナリー選手に関する大会参加規定の停止を決定。規定は昨年11月時点で「現在も見直し中」とされている。

■ハンナ・マウンシー(ハンドボール)

 ハンナ・マウンシー(Hannah Mouncey)は、オーストラリア代表として22試合に出場したトップレベルの男子ハンドボール選手だった。

 2015年に性別移行を開始し、オーストラリアンフットボールにも挑戦。2017年にはリーグのドラフトから除外されたが、その後、「トランスジェンダー選手に関する方針と手順の策定への貢献」を認められ、2018年に1シーズン、オーストラリアンフットボールのプロリーグでプレーした。

 その後はハンドボールへ復帰し、オーストラリア女子代表にも選出されている。(c)AFP