【4月21日 AFP】共和党が多数を占める米下院は20日、トランスジェンダーの生徒や学生が女子スポーツに参加することを禁じる法案を可決した。

 共和党はトランスジェンダーをめぐる教育関連の規制を推進して物議を醸しており、その方針を浮き彫りにする動きとなった。同様の規制は州レベルでは成立しており、それを全米規模に拡大させる狙いだ。

 同法案は、連邦政府の資金を受ける学校(実質的に全校)において「性別が男性の人が、女子もしくは女性のために指定されている体育プログラムや活動に参加すること」を禁止し、性を「出生時の生殖器官と遺伝的要素のみに基づくもの」として認識することを目的としている。

 ただし、民主党が多数派の上院を通過する可能性は低く、ホワイトハウス(White House)もジョー・バイデン(Joe Biden)大統領がいずれにしても拒否権を発動すると述べている。

 トランスジェンダー選手をめぐる問題は、男性から女性へ性別変更した競泳のリア・トーマス(Lia Thomas)が全米大学体育協会(NCAA)選手権の女子部門で優勝を果たし、議論を巻き起こした件を中心に表面化した。

 世界のスポーツ団体も、この問題に関する方針を決め始めている。3月下旬にはワールドアスレティックス(World Athletics、世界陸連)が、男性として思春期を過ごしたトランスジェンダー選手について、世界ランキングの対象となっている女子大会への出場を禁止した。(c)AFP/Camille CAMDESSUS