【4月10日 Xinhua News】国際通貨基金(IMF)のゲオルギエバ専務理事は6日、米国ワシントンで開催中のIMF・世界銀行春季会合で開会演説し、世界経済は引き続き減速し、23年の成長率が3・0%を割り込むとした一方、中国とインドが世界経済成長の半分を占めるとの見通しを示した。

 また、緊迫した地政学的情勢やインフレの高止まりなどにより、世界経済の着実な回復は極めて難しいと述べた。

 ゲオルギエバ氏の演説要旨は次の通り。

 今年の世界経済の成長の勢いは新興国でみられ、特にアジアが顕著で、中印両国は世界経済成長の半分を占める。米国とユーロ圏の経済活動は減速しており、金利の上昇が需要を停滞させ、先進国の約90・0%で経済成長率が低下するだろう。

 世界経済は短期的に見ても中期的に見ても減速傾向が続くとみられる。IMFは、向こう5年間の世界経済成長率を3・0%程度と予想し、中期成長率予測の中で1990年以降最も低く、過去20年間の平均値である3・8%を大きく下回る。

 各国は成長見通しを改善するため、インフレに対応し、金融の安定を維持すべきである。生産性と成長のポテンシャルを高めるには、構造改革を推進し、デジタル革命を急ぎ、ビジネス環境を改善する必要がある。地球環境を守り、新たな経済的チャンスを創出するには、「グリーン(環境配慮型)変革」の推進も必要である。さらに、国際協力を強化させ、経済の分断と地政学的リスクによる影響を軽減すべきである。

 同氏は各国に対し、結束を強め、世界の発展格差を縮小するよう呼びかけた。

 IMFと世界銀行の2023年春季会合の正式会議は現地時間10日から16日まで開催され、IMFは期間中に最新の「世界経済見通し(WEO)」を発表する予定。(c)Xinhua News/AFPBB News