【4月6日 AFP】ロシア当局はこのほど、学校でウクライナ侵攻に批判的な絵を描いたため父親から引き離されていた少女を、疎遠になっていた少女の母親に引き渡した。

 当局は3月上旬、問題の絵を描いたマリア・モスカリョフ(Maria Moskalyova)さん(13)をシングルファーザーのアレクセイ・モスカリョフ(Alexei Moskalyov)さんから引き離し、地元エフレモフ(Yefremov)の更生施設に送った。

 ロシア軍の「信用を失墜させた」罪で起訴されていたアレクセイさんは3月末、自宅軟禁から逃れて行方不明になっていた。裁判所は被告人不在のまま懲役2年を言い渡した。

 アレクセイさんはその後、ベラルーシの首都ミンスクで拘束された。4月6日にエレフモフの裁判所に出廷する予定で、同日親権を剥奪される可能性がある。

 これを前にマリア・リボワ・ベロワ(Maria Lvova-Belova)大統領全権代表(子どもの権利担当)は、アレクセイさんの娘マリアさんは母親に引き渡されたと発表した。リボワ・ベロワ氏に対しては、ウクライナの子どもの「国外移送」に絡み、国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出ている。

 マリアさんは、母親のオルガ・シチキナ(Olga Sitchikhina)さんともう何年も一緒に暮らしていない。

 リボワ・ベロワ氏は5日夜、「周知の通り、少女は(母親と)長いこと一緒に暮らしておらず、連絡もほとんど取っていなかった」とテレグラム(Telegram)に投稿した。

 同氏は、「マーシャ(マリアの愛称)は当初母親の元に行きたがらなかった」ものの、「電話で考えを変えたと伝えてきた」として、母娘の和解を「奇跡」だと歓迎している。

 AFPはこの話の裏付けを取れていない。人権活動家や弁護士らは、マリアさんに面会できていないと抗議している。

 現地メディアは、マリアさんが入所していた更生施設の責任者の話として、精神科医らがマリアさんを診療したと伝えた。

 先週、アレクセイさんが自宅軟禁から逃れた後、マリアさんが父親に宛てたとする手紙を活動家らが公開した。弁護士らはこの手紙を本物だとしている。この中でマリアさんは父親について「本当に愛しているし、何の罪も犯していないと知っている」とつづり、「私のヒーロー」と呼んでいる。(c)AFP