【3月24日 AFP】中国系動画投稿アプリ「ティックトック(TikTok)」の周受資(Shou Zi Chew)最高経営責任者(CEO)は23日、米議会下院のエネルギー・商業委員会の公聴会で証言した。5時間以上にわたる公聴会で周氏には、共和・民主両党の議員から異例の激しい質問が浴びせられた。

 米政府は、中国当局がティックトックをスパイ行為やユーザーデータへのアクセス、プロパガンダに利用している恐れがあるとして、運営会社の株式を売却しなければ、米国内での利用を全面的に禁止すると迫っている。

 議員らは周氏に矢継ぎ早に質問し、持論を展開させたり、ティックトックの世界的な人気をアピールさせたりする機会を与えなかった。

 周氏はティックトックを運営する中国IT大手バイトダンス(ByteDance、字節跳動)について「中国政府が所有・管理しているものではなく、民間企業だ」と主張した。

 だが、キャシー・マクモリス・ロジャース(Cathy McMorris Rodgers)委員長(共和党)は「ティックトックは統制、監視、操作を拡大する道を繰り返し選択してきた。禁止されるべきプラットフォームだ」と一蹴した。

 また、周氏は一部の米国人の個人情報がいまも中国の法律下に置かれていることを認めたが、すぐに変更されると述べた。

 周氏は、米国の安全保障上の懸念を払拭(ふっしょく)するために、米国内のデータは米国事業のみで管理する「プロジェクト・テキサス」と称する計画について説明したが、議員らは懐疑的な態度を崩さなかった。

 テキサス州選出のオーガスト・フルーガー(August Pfluger)議員(共和党)は「テキサスの名前を使用するのは不適切だ。プロジェクト名を変更してほしい。われわれは自由と透明性を支持している」と詰め寄った。

 中国商務省は公聴会に先立ち、米国事業売却の強制に「断固反対」すると表明。売却や分社化には中国当局の承認が必要だと強調し、「売却を強行すれば、中国を含め各国の投資家の信用を著しく損なうだろう」と警告した。(c)AFP/Alex PIGMAN