【3月24日 Xinhua News】中国の山西省(Shanxi)考古研究院はこのほど、同省長治市(Zhangzhi)の長治体育センター東側で唐代の紀年墓(出土遺物などに造営年代が記されている墓)3基を発見したと明らかにした。墓から出土した生き生きとした造形の人形「墓俑」や精美な茶器などの副葬品は、歴史的、芸術的に高い価値を持つ。

 発掘調査は、同考古研究院と長治市古建築保護・考古研究所が建設工事に合わせて昨年実施。発掘の責任者を務めた李輝(Li Hui)氏によると、唐代の墓5基と明清時代の墓25基を発掘した。

 唐代墓3基はいずれも土洞墓(どどうぼ)で、出土器物は計48点(組)。それぞれ咸通2(861)年、咸通6(865)年、咸通9(868)年の墓誌が見つかったことから年代が確定できた。

 墓誌蓋に「唐故府君龐公墓」と記された墓では、16カ所に設けられたアーチ型の壁龕(へきがん、壁面のくぼみ)から、5体の泥俑(でいよう)がほぼ完全な状態で見つかった。俑は表面の彩色がほぼ剥げ落ちていたが、今にも動き出しそうな生き生きとした姿をしていた。

「唐故府君張公墓」と記された墓からは、鉄製の茶碾(ちゃてん)や黒釉茶臼、白釉執壺(しっこ、水差し)、白釉帯托盞(たくさん、茶托と茶碗)、白釉花口盞、緑釉渣斗(さとう)、鉄製の茶勺(茶さじ)、銅製の茶則(茶葉を茶壺などに移す道具)が出土。磁器の素地の質は高く、組み合わせも揃っており、当時の人々の飲茶の作法を再現した、生き生きとした歴史の場景を感じさせる。

 李氏は「唐代墓3基はいずれも紀年墓で、墓誌から被葬者らが官吏であったことが分かる。副葬品の墓俑からは被葬者の内面世界、精美な茶器からは日々の生活情緒をそれぞれうかがい知ることができる。同地域、同時代の埋葬文化や社会文化を研究する上で新たな資料になる」と語った。(c)Xinhua News/AFPBB News