【3月24日 AFP】激しい攻防が続くウクライナ東部バフムート(Bakhmut)近郊で、約10年来の友人である6人の兵士が旧ソ連時代に製造されたS60対空機関砲を操る。

 S60は元々、対空防衛用に使われていたが、今では迫撃砲として使われている。

 兵士36人とS60数門を擁する砲兵部隊を率いるウォロディミルさん(37)は、姓は明かさなかった。

「ここにある迫撃砲は博物館級だ」「鉄くずとして保管されていた」

 口径57ミリのS60は、ソ連軍が1950年に導入した。白い十字マークが描かれた数十年ものの「KrAZ」製トラックの荷台に取り付けられている。

「修理して、磨いて、祖国ウクライナ防衛のため使っている」と話す。

 ウォロディミルさんによると、最初は物資が少なく、知り合いやボランディア、NGOからの寄付でトラックを何台か購入した。

 トラックの荷台の上で、小さな金属製の椅子に座った砲撃手が照準を合わせる。その間に他の兵士たちが弾薬などを用意する。狙いが定まると、砲撃手がペダルをひと踏みする。

 銃身から火炎と煙が噴き上がる。弾はシューっと音を立てて数キロ先のターゲット目掛け飛んでいった。発射のたびにトラックは大きく揺れる。

「ターゲット」を意味する「ツィリ」の名で呼ばれる砲撃手は「反動はあまり重要ではない」と話した。「足よりも手の感覚が重要だ。しっかり握る必要がある」

 弾は矢継ぎ早に発射され、2~4回連続で撃つこともある。

 部隊の兵士の多くは、2014年のマイダン(Maidan)革命時からの知り合いだ。ウォロディミルさんは「一緒に余暇を過ごしたこともある」と話した。

 最年長は61歳のワレリーさんだ。白髪混じりの濃い口ひげを生やしている。毎日は苦でも楽でもないと言う。

「これは人生で、これは戦争だ。訓練じゃない。何でも起こり得る。だが、うちの隊長は運が強いとみんな、思っている。私たちの守護天使みたいなものだ」

 休憩中、上空にドローンが現れた。兵士たちは空に向かって発砲した。

 ウォロディミルさんは「ロシア軍のドローンだ」と言うと、兵士たちに荷をまとめ撤収するよう指示した。(c)AFP/Emmanuel PEUCHOT