【3月23日 東方新報】中国の携帯端末メーカーは、大画面と独特の使い方で話題となっている「画面ごと折りたためるスマホ」の開発にしのぎを削っている。そうした中で、華為技術(ファーウェイ、Huawei)は3月23日に折りたたみスマホの新製品Mate X3を発表する予定という。市場調査会社(CINNO Research)の統計によれば、中国での2022年の折りたたみスマホの販売量は前年比144%増の283万台。2023年には550万台の出荷が見込まれるという試算もある。

 同統計によれば、22年の中国国内での折りたたみスマホのシェアは、ファーウェイが51%でトップ。これに続くのは韓国メーカーのサムスン電子(Samsung Electronics)で22.8%。ファーウェイを除くオッポ(OPPO)や小米科技(シャオミ、Xiaomi)といった中国メーカーはほとんど食い込めていない。一方、世界に目を向ければ、サムスンがシェアの80%以上を占め、ファーウェイは第2位につけるものの、シェアは12%に満たない。

 中国メーカーの苦戦についてバージョンの進化の遅さが指摘される。サムスンは2019年に最初の折りたたみスマホGalaxy Foldを発表して以来、すでに第4世代を登場させている。ファーウェイは辛うじてそのペースについて行っているが、他のメーカーは、いずれもまだ試行段階に過ぎない。折りたたみスマホに求められる技術的に後塵(こうじん)を拝している。

 サムスンに食いついているファーウェイさえ、アメリカの制裁により半導体チップの供給やグーグルモバイルサービス(GMS)の搭載を禁止された影響は大きい。今後、シャオミにこの分野での市場を完全に奪われる恐れもある。

 この数年、スマホは価格競争が激化し、いわゆる「1000元(約1万9214円)スマホ」の市場が拡大した。だが、2021年には、国内で4000元(約7万6857円)以上の高級機種による売り上げがスマホ全体の売り上げの半分を超えた。こうした中でメーカーは高品質な折りたたみスマホに開発に力を入れようとするのだ。

 だが、折りたたみスマホに対するメーカーと消費者の期待は釣り合っているのだろうか?

「ドラマ以外にはバラエティーを見て、ニュースを見るだけなのに、どうして折りたたむ必要があるの?」

 ある若い女性はこう話したが、確かに一部の消費者の気持ちを代弁しているとも言える。この女性のように多くの人にとっては、スマホはもはや日常生活に溶け込んだ道具の一つ。最先端の折りたたみスマホは少しカッコいいかもしれないが、必ずしも持つ必要はない。

 若者を対象にした折りたたみスマホへの調査では、21歳から35歳までの消費者で、折りたたみスマホの利用者は5%に満たなかった。

 価格帯でいえば、折たたみスマホは現在、だいたい6000元(約11万5285円)以上8000元(約15万3714円)未満だが、この価格を許容できると考えている人は23%。いくらなら欲しいかという質問に対し、4000元(約7万6857円)以上6000元未満と回答した人が33%と最も多く、次いで2000元(約3万8428円)以上4000元未満と回答した人は26%だった。

 折りたたみスマホの開発には高い技術力と開発コストが必要とされ、その分、商品が高くなる。上の調査からすると、中国の消費者の間で、折りたたみスマホが本格的な普及する条件が整ったとは言い難いが、その分、中国メーカーは真の実力が試される新たな競争の舞台に突入したとも言える。(c)東方新報/AFPBB News