【3月10日 AFP】トランスジェンダーの選手が女子スポーツに参加することを禁じる法案が9日、共和党が多数を占める米下院教育労働委員会で可決された。本会議において激しい議論になることが予想されている。

 保守派いわく、女性を保護しながら公平性を促進することが目的であるという同法案は、性差別を禁ずる公民権法の解釈を狭め、性を「出生時の生殖器官と遺伝的要素のみに基づくもの」として認識することを目的とする。

 共和党の下院議員の一人は委員会で、トランスジェンダー選手を女子アスリートと競わせることは「女性の機会均等を否定するものだ」と主張。それに対して民主党議員は、トランスジェンダーの選手から競技の場を奪うのは、差別であり有害であると反論した。

 トランスジェンダーのフィールドホッケー高校選手、レベッカ・ブルースホフさん(16)は、米首都ワシントンの連邦議会議事堂の外で、「本来なら今頃化学の授業を受けているはずだが、自分のような子どもには友だちとスポーツをする権利があると言うためにここに来た」と訴えた。

 この問題は全米の学校や教育当局、女性団体、スポーツ協会で意見が分断されており、トランスジェンダーの女性や少女を競技大会から締め出す地域もある。

 法案は上院の承認が必要になるが、上院は反対派の民主党が多数派のため、成立する可能性は極めて低い。(c)AFP