【2月21日 AFP】国連(UN)は20日、中央アフリカで政府軍とロシア軍が民間人を虐待しているほか、ロシアから派遣された傭兵(ようへい)も平和維持活動(PKO)を妨害しているとする報告書を公表した。

 報告をまとめたのは、中央アフリカでの10日間の視察を終えた人権問題専門家のヤオ・アグベツェ(Yao Agbetse)氏。同氏は報告書で「政府軍は恣意(しい)的な逮捕や拘束、生存権や身体・精神を保全する権利の侵害、道路封鎖による嫌がらせを行っている」としている。

 2018年から駐留しているロシア軍も「民間人に残虐行為を働き、尊厳を損なうような非人道的な扱いを行っている」と指摘。西部マンベレカデイ(Mambere-Kadei)州では、民間人を拉致して直ちに処刑した事例が複数あると述べた。

 さらに、ロシアの傭兵が国連中央アフリカ多面的統合安定化ミッション(MINUSMA)の活動を「妨害」しているとし、「容認し難く、阻止しなければならない」と訴えた。

 中央アフリカは2013年のクーデター後、内戦に突入。旧宗主国のフランスが派兵していたが、国内の多くの地域は依然、反政府勢力に掌握されている。このためフォスタンアルシャンジュ・トゥアデラ(Faustin Archange Touadera)大統領が2018年、弱体化した政府軍を補強するためロシア軍の「指導員」を招聘(しょうへい)。2020年にはロシアから多数の傭兵を招いていた。

 フランスは、ロシアの民間軍事企業ワグネル(Wagner)の役割が拡大しているとして、昨年、最後の駐留部隊を撤収させた。(c)AFP