■分散化された指揮命令系統

 ウクライナ軍の柔軟で分散化された司令機能は、戦場においてロシア軍に対して大きな優位性が示されている。ビドル氏は、第1次世界大戦(World War I)以降に繰り返して明らかにされてきた教訓だと指摘する。

 同氏は、「厳格かつ一元化されたロシア型の指揮統制系統は長らく悪手と見なされてきた」という。

 問題なのは、幾つかのNATO諸国は、依然として軍隊が一元化されていることだ。ビドル氏は「それをうまく変えるのは非常に困難だ」と解説する。

■戦意

 ワッサー氏は、ウクライナが近代化された能力の高い軍隊に変貌を遂げたのは、2014年のロシアがウクライナ南部クリミア(Crimea)半島を容易に併合して当惑させられて以降のことだと指摘する。

 台湾の軍隊は、訓練を強化する必要があるとワッサー氏は述べた上で、「台湾がこの教訓を身をもって思い知らなくてもいいように訓練を強化しなければならない」と強調する。

 ビドル氏は、ウクライナ紛争は別の重要な教訓を提示しているという。ロシアがウクライナに侵攻した当初、ロシアや西側諸国の指導者たちは、ウクライナが頑強に国土を防衛するとは考えていなかった。

 同氏は「戦闘の動機付けは非常に重要だ」との考えを示した上で、「ウクライナ軍と同様に台湾軍が高い戦意を持っているかどうかが非常に重要な問題になる」と述べた。(c)AFP