■オープンソースインテリジェンス

 公開された情報に基づく分析手法「オープンソースインテリジェンス(OSINT)」は現在、必要不可欠だ。

 情報機関や民間の関係者は、戦闘が起きている場所や、潜在的な標的、水面下の政治的な動きに関する情報を求めて、メッセージアプリのテレグラム(Telegram)や民間の衛星写真、森林火災の位置情報、ティックトック(TikTok)のビデオの情報を探し求めている。

 ウクライナの情報部門は、ロシア兵が家族や友人と携帯電話で話す際に位置情報などを入手している。

 米シンクタンク「ニューアメリカ(New America)」のキャンディス・ロンドー(Candace Rondeaux)氏は、侵攻が差し迫っているとの公開情報に基づいた多くの兆候が、開戦前から存在したと指摘する。

■防空システム

 ステルス戦闘機や爆撃機は、巨額の開発費用が投じられたが、こうした有人機のほか大型ミサイルは、ウクライナ戦争では限定的な影響しか与えていない。防空システムが機能しているためだ。

 中東の紛争は、戦闘機や爆撃機、ミサイルにより、陸上ではなく空域でより多くの戦いが展開される可能性がある。

 ウクライナ紛争は、各国がより多くの防空システムを配備しておく必要性を示した。だが、米国の地対空迎撃ミサイルシステム「パトリオット(Patriot)」は、10億ドル(1360億円)以上と高額のため難題だ。

 前出のビドル氏は、「(軍は)高額な航空機を撃墜するためには高額な兵器を、安価な航空機を撃墜するためには安価な兵器」を必要としていると解説する。

■弾薬や兵器の重要性

 軍事専門家は、ウクライナ紛争で得られた最大の教訓は消費した弾薬の補充は容易に進まないということだとの見解を示す。

 西側の兵器の備蓄は、小型の弾薬から最先端の精密誘導爆弾、防空システムまで大きく減少している。ウクライナを支援する諸国は、需要を満たすよう努力している。

 米シンクタンク「新アメリカ安全保障センター(Center for a New American Security)」のベッカ・ワッサー(Becca Wasser)氏は、中国による台湾侵攻を想定した最近の軍事演習は、「とても気が遠くなるような」ペースでの弾薬の使用という実態が示されたという。

 ワッサー氏は、ウクライナと同様、「台湾をめぐる米中紛争も短期間で終わると想定すべきでない」と述べた。

 ロンドー氏は、米国は技術を共有して北大西洋条約機構(NATO)諸国が協調的に兵器を生産できる体制を構築できるよう支援する必要があるとの考えを示す。