【2月16日 AFP】女性に利尿薬を飲ませ、目の前で排尿させていたとして性的暴行やプライバシー侵害、薬物法違反などの罪に問われた仏文化省の元職員の裁判で、パリの行政裁判所は17日、同省に損害賠償の支払いを命じた。

 被告の名前はイニシャルの「D.B.」としか明かされず、審理過程もこれまで非公開だった。

 文化省の人事部長だった被告は2009~2018年、就職面接に来た女性たちに利尿薬を混入した飲み物を出した後、外に誘い出し、尿意を催した女性たちに橋の下などで用を足すよう促していたとされる。被告は2019年、懲戒免職となった。

 今回の裁判は多数の被害者女性のうち一人の事件に関するもので、裁判所は文化省に対し、この女性に1万2000ユーロ(約170万円)の損害賠償と1500ユーロ(約20万円)の訴訟費用を支払うよう命じた。

 判決文によると、被告は面接の冒頭、女性にコーヒーを飲むよう勧め、その後、庁舎に近いチュイルリー公園(Tuileries Garden)の周りを歩こうと誘った。散策中に突然、痛みと強い尿意を感じた女性は、橋の下で用を足すよう促され、被告の目の前で排尿を強いられた。女性はその後入院した。

 捜査によると、被告は長年にわたり同様の手口で多数の女性を標的としていた。また、被害者の名簿と排尿場面の写真をパソコンに保存していた。

 文化省は、被告の薬物使用を認識していなかったと主張した。しかし、原告側は「文化省の組織に問題があり、被害者を保護し、その主張を聴取するプロセスが存在しなかった」として、同省にも責任の一端があると訴えた。

 被告の同僚だった女性6人も同様の被害を訴えており、今回の判決の一環として補償を受けられるという。(c)AFP