プーチンvsゼレンスキー 「水と油」の両雄、退路断つ
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■ネオナチ呼ばわり
「口撃」はお互いさまだ。侵攻開始の翌日、プーチンはウクライナ兵に、自分たちの政権指導部に対する蜂起を呼び掛けた。
「キーウに居座り、全ウクライナ国民を人質に取っている薬物中毒者どもやネオナチと折り合いをつけるより、君たちと話す方が簡単だ」と、プーチンは言ったのだ。
カーネギー財団のコレスニコフは、クレムリンはゼレンスキーとの交渉にこぎ着けられそうにないとのロシア国内の受け止め方は、昨年2月の侵攻開始以前からあったとAFPに話した。
「プーチンはゼレンスキーを、対話や交渉をするに値する政治家とは見ていない。彼にとってゼレンスキーはエイリアン。2人は水と油のようなものだ」
侵攻開始以来、ゼレンスキーは国際社会からの積極的な軍事・資金支援を勝ち取ってきた。ロシアはと言えば、戦場での進軍ペースは極めて遅く、双方ともにではあるが、損耗を強いられている。
どちらも戦闘継続の覚悟を決めているようだ。ゼレンスキーは国内外での「戦争疲れ」の台頭を抑え込もうと躍起になっている。クレムリンとしても、最後まで戦い抜くしかなくなっている。
コレスニコフは言う。「プーチンはより頑迷に、より攻撃的になっている。独自の陰謀論にはまり込み、各種リソースの枯渇や、名声が傷つくことも顧みず、戦争を続けるつもりだ」
ウクライナの政治専門家オクティシュクは、戦争へのプーチンののめり込みぶりの背景には、ゼレンスキーを権力の座に就かせたのと同じ、変化を求める機運がロシアでも広がってくるのではないかとの恐れがある、と話す。
「道化師、コメディアンとみられていた人物が選挙で勝ち、国を変革する道筋を示した」と、オクティシュクは語る。「ウクライナでそれが起きたのなら、ロシアで起こり得ないと言えるだろうか」(敬称略)(c)AFP/Stanislav DOSHCHITSYN