【2月27日 AFP】チベット問題をめぐっては、中国側に譲歩の構えは一切見られない。チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)14世もすでに高齢だ。そうした中、チベット亡命政府のペンパ・ツェリン(Penpa Tsering)首相はAFPのインタビューで、将来を展望する上で歴史を振り返ることが有益だとの考えを示した。

 チベットの顔として世界的に知られるダライ・ラマは現在87歳。ツェリン氏は2021年、その後継問題に道筋をつける計画の一環として、インドに本拠を置く亡命政府の「シキョン(政治最高指導者)」に選ばれた。1967年生まれのツェリン氏は、同国で生涯を過ごしてきた。

 今月、ワシントンを訪れたツェリン氏は米議会に、チベットをめぐる法案への支持を訴えた。1950年代に中国に武力で併合されたチベットは歴史的に独立国だとうたう一方、現在の地位が中国の自治区とされているのは問題が「未解決」であることの表れであると確認する内容だ。

 ツェリン氏はしかし、チベットの独立を求めているわけではないと強調した。強大な中国に対し、「自治権以上」の要求を突きつければ自殺行為につながりかねないと考えるダライ・ラマの「中道」路線に沿ったものだ。

 ただしダライ・ラマは、チベットは歴史的に中国の一部だとする中国政府の主張を拒絶している。それを理由に中国側は2010年以降、チベット亡命政府との対話を拒否している。

「チベットが中華人民共和国の一部だと繰り返し表明することは国際法に反すると、われわれは各国政府に伝えている」とツェリン氏は語った。

 超党派の支持を得た今回の法案が提出されたのを受け、在米中国大使館は反発。大使館報道官は「チベットを中国の一部と認め、『チベット独立』を支持しないとの従来の立場を堅持するための具体行動を米国に求める」とするとともに、「チベット問題に乗じて中国の内政に干渉するのをやめるよう求める」とも述べた。