【2月19日 AFP】ウガンダのムサ・ハサヒア・カセラさんは(68)は、自分の子どもの名前をほとんど覚えていない。妻が12人、子どもが102人、孫が578人いるからだ。妻の名前を忘れることさえある。大家族を養うのが負担となっており、今では「もうたくさん」だと感じている。

 ハサヒアさんは東部ブタレジャ(Butaleja)県ブギサ(Bugisa)村の自宅でAFPの取材に「当初は笑い話だったが、今では問題になっている」と語った。

「体力が衰え、大家族なのに約8000平方メートルの土地しかない。妻のうち2人は家を出て行った。食事や教育、衣服など必要なものを与えられなかったからだ」

 現在無職のハサヒアさんは、人口約4000人の村の名物的存在となっている。

 家族がこれ以上増えないよう、妻たちは避妊している。「妻たちは避妊しているが私はしていない。もう子どもはつくらないつもりだ。私の無責任な行動で、世話ができないほど子どもをたくさんつくってしまったことから学んだ」

 ハサヒアさんは1972年、17歳の時に同級生だった最初の妻と伝統的な結婚式を挙げた。翌年、最初の子どもが生まれた。2人しか子どもができなかったため、きょうだいや親戚、友人からたくさんの妻と結婚して、たくさん子どもをつくるようアドバイスされたという。

■みんな愛している

 ハサヒアさんは当時、家畜商や食肉処理をしていた。その肩書に引かれ、多くの村人が娘と結婚してくれと言ってきた。中には18歳以下の娘を紹介する人もいたという。

 ウガンダでは1995年に児童婚が禁止されたが、一夫多妻は宗教上の慣習に従い現在も認められている。

 ハサヒアさんには10歳から50歳までの子どもがいる。一番若い妻は35歳だ。

「子どもの名前を覚えるのが難題だ。最初と最後に生まれた子の名前しか覚えていない」と言いながら、古いノートの山を探り、出生記録を確かめる。

 誰が誰なのか子どもについて教えてくれるのはその母親だ。しかし、妻の名前さえ思い出せない時がある。そんな時は息子のシャバン・マギノさん(30)が相談に乗ってくれる。小学校教員のマギノさんは教育を受けた数少ない子どもで、家庭のことを手伝っている。

 3番目の妻ザビナさんは、ハサヒアさんに他に妻がいると知っていたら、結婚に同意しなかったと話す。「ここに来て、諦めて運命に身を委ねた。そしたら彼は4番目、5番目の妻を連れてきた。最後には12人になった」

 なぜ2人の妻以外は出て行かないのかと聞かれると、ハサヒアさんはこう答えた。「みんな私を愛しているからさ。みんな幸せなんだ!」 (c)AFP