【5月29日 AFP】新型コロナウイルス対策で厳格なロックダウン(都市封鎖)が実施される中、アブ・オスマン(Abu Othman)さん(45)は数千人のクウェート人男性と同様に、別々の家に暮らす2人の妻に時間を割くのに苦労している。

 2人の妻との間に10人の子どもを持つオスマンさんはAFPに、「私の人生はとても複雑になった」と語った。「私は常に妻たちの間を行き来している」として、2人の妻のどちらか一方を選ぶことは絶対にできないと強調した。

 クウェートは5月初旬、同月30日まで全国的に「完全な」ロックダウンを実施すると発表。民間および公共部門で必要不可欠な場合を除き、すべての活動を停止している。

 ロックダウンの期間中は当局から電子許可証を取得すれば、住民は6日に1度だけ食料購入のために外出することができる。また、夕方に2時間の散歩に出ることも可能だ。

 家以外でのマスク着用義務を含めこうした規則に従わない場合は、最大で1万6000ドル(約170万円)の罰金と最長3月の禁錮が科せられる。

 クウェート当局は17日、オスマンさんのような複数の妻がいる人々から移動制限の緩和を求める声が多く寄せられているとして、このような男性に対し週に2回、1時間の訪問を認める電子許可制度を導入した。

 伝統的なイスラム法学は、イスラム教徒の男性は最大4人の妻と結婚できると定めている。ただ、男性はすべての妻に平等かつ公平に接することを厳格に求めている。

 一夫多妻制は多くのイスラム教国で次第に一般的ではなくなってきている。チュニジアは1956年、イスラム教徒が多数派を占める国として初めて一夫多妻制を廃止した。

 ドーハ国際家族研究所(DIFI)の調査によると、クウェートは2010年から2015年まで、婚姻全体の8%以上が一夫多妻制を占めるなど、湾岸諸国の中でもその割合が最も高い国の一つだった。