【1月30日 CNS】中国政府の防疫政策の改善に伴い、中国の観光市場は回復の兆しを見せている。人びとの長い間抑えられていた旅行需要が解放され、元旦の連休期間(2022年12月31日〜2023年1月2日)からすでに外出したり、春節(旧正月、Lunar New Year、2023年1月21日〜1月27日)の連休期間の旅行を計画したりしている。

 中国国内の旅行がいち早く回復し、2023年の元旦連休期間中、中国の観光市場は着実に回復し、ほぼ感染拡大前の水準に回復した。オンライン旅行プラットフォームの「同程旅行(LY.COM)」のデータによると、2023年の元旦休暇期間の中国国内航空券の注文数は、感染拡大前の2020年同期より2%増加し、航空券の平均価格は2020年同期の676元(約1万2951円)から905元(約1万7338円)に上昇し、ホテルの受注高は2020年同期の32%増で、ホテルの平均価格も229元(約4387円)から244元(約4674円)へと上昇したという。

 海南省(Hainan)三亜市(Sanya)は、元旦連休期間の国内旅行市場で最も人気のある旅行先となった。情報筋によると、元旦連休期間の高級ホテルの平均支払額は1500元(約2万8737円)を超えた。また、一部のホテルの春節連休期間の予約金額は2倍近くに値上がりしたという。 

 三亜市の高い人気と高価格にけん引され、中国雲南省(Yunnan)の大理ペー族自治州(Dali Bai Autonomous Prefecture)、麗江市(Lijiang)、シーサンパンナ(Xishuangbanna)・タイ族自治州に代表される他の比較的温暖な都市が、三亜市の「安価な代替品」となっている。民宿予約プラットフォームの「途家(Tujia)」のデータによると、これらの都市における春節の民宿の平均予約数は、前年同期比で3倍に増加したという。

 防疫政策の調整前に人気があった郊外都市観光に比べ、今は長距離旅行が人気を集めている。オンライン旅行プラットフォームの「飛猪(フリギー、Fliggy)」が発表したデータによると、2023年の元旦連休期間中に、省をまたぐツアーや都市をまたぐツアーの注文が全体の80%近くを占め、ここ1年のピークに達した。「90後(1990年代生まれの人)」「00後(2000年代生まれの人)」の若いユーザーが長距離旅行の主力で、受注の70%以上を占めている。

 現在、中国の観光産業は全体として回復を見せているが、海外旅行の回復にはまだ時間がかかるというのが業界の一般的な見方だ。これは、中国国内での感染症の影響や、一部の国で中国人観光客に対する予防・管理措置が導入され、旅行意欲が減退していることも要因のひとつと考えられる。

 一方、国際線の運航再開は、各国の防疫要件の調整の影響を多少受けている。北京第二外国語学院(Beijing International Studies University)旅行科学学院の谷慧敏(Gu Huimin)教授によると、ほとんどの長距離便は3月まで再開されず、中国の海外旅行市場は中国のメーデー連休(2023年4月30日〜5月4日)の前後にピークを迎えるだろうという。(c)CNS/JCM/AFPBB News