【1月23日 AFP】女性の髪を隠すスカーフ「ヒジャブ」を着けずに国際大会に出場し、スペインへ亡命したイランの女子チェス選手、サラ・ハデムアルシャリア(Sara Khademalsharieh、25)が、ヒジャブを着けていると「自分らしくいられない」と非着用の理由を語った。

 イランでは女性のヒジャブ着用が法律で義務づけられているが、ハデムアルシャリアは昨年12月にカザフスタン・アルマトイ(Almaty)で行われた国際チェス連盟(FIDE)主催の大会に、ヒジャブを着けずに出場した。

 イランでは、服装規定違反の疑いで逮捕されたマフサ・アミニ(Mahsa Amini)さん(22)が道徳警察の拘束下で死亡した問題をきっかけに、昨年9月から抗議運動が続いており、ハデムアルシャリアの行動も、デモを支持するものだとの見方がある。

 その後の1月上旬、夫と10か月の息子とともにスペインへ移ったハデムアルシャリアは、22日付のスペイン紙パイス(El Pais)のインタビューで、「イランを代表しているため、カメラのあるところで」だけヒジャブを着けていたと明かし、「しかしベールがあると自分らしくいられないし、落ちつかない。だからその状況を終わりにしたくて、もう着けないと決めた」と話した。

 ハデムアルシャリアが公に発言するのは、これが移住後初めてだった。パイス紙によれば、インタビューは「安全上の理由から秘密の場所」で行われた。

 イランの女性スポーツ選手は厳格な服装規定に従う必要があり、国際舞台で国を代表する際は髪を隠したりする必要がある。今後も代表を続けたいというハデムアルシャリアは、チェス番組を放送するネット配信者になることを考えているとも明かした。(c)AFP