春節帰省ラッシュの中国で変異株への警戒感強まる
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【1月19日 東方新報】春節(旧正月、Lunar New Year、2023年は1月22日)の帰省、旅行シーズンを迎えた中国で、新型コロナウイルスの変異株への警戒感が広がってきた。中国メディアは「XBBなどの変異株は新たな感染ピークを引き起こすのか」との見出しで警戒感を伝えている。
中国政府は1月8日に中国に入国する人に義務付けてきた隔離措置を撤廃した。海外から中国の空港に到着した旅客は、そのまま市中に出ることができるのだ。
加えて3年ぶりに移動制限のない春節シーズンとなったことから、帰省や旅行に出かける人も多く、移動する人流に乗って感染が広がりやすい時期にぶつかっている。
1月13日に開かれた中国政府の記者会見では、中国の記者から「BQ.1やXBBなどすでに外国で主流になっているコロナ変異株が、(海外からの入国が)開放されたわが国に入ってきて、新たな感染ピークを引き起こすのではないか。庶民はどのような感染対策をすればいいのだろうか」との質問が出た。
3年間続いたゼロコロナ政策が緩和された中国では、雪祭りなど各地のイベントに出かける人が増え、SNS上にはにぎやかな写真があふれている。一方、すでに中国国内でもオミクロン株の新系統であるBF.7、BQ.1、XBBは少数だが報告されており、感染が始まっていると考えるのが自然だ。
新たな感染ピークの懸念について、13日の記者会見では、中国疾病予防コントロールセンターの陳操(Chen Cao)研究員は「(オミクロン株に)感染した後にできる中和抗体が群衆の中に存在するため、新系統のオミクロン変異株が大流行する可能性は低いと考えられる」と回答した。
その上で、陳氏は「65歳以上の高齢者、基礎疾患のある患者、ワクチン未接種者などのハイリスクグループは注意が必要。手指の消毒や定期的な換気などを呼びかけたい」と語っている。
こうした見方は陳氏だけのものではない。中国メディアによると、国家衛生健康委員会の専門家グループ長である梁万年(Liang Wannian)氏は「多くの地方ではすでに感染ピークに達し、中には減少傾向を示している地方もある。春節を経て比較的大きな第2波、第3波のピークを迎える可能性も否定できないが、その確率は比較的小さい」と予想する。
一方、中国で技術分野の最高研究機関である中国工程院の張伯礼(Zhang Boli)院士は、「春節の大移動で、都市部から農村部へ大量の人が移動すれば、感染リスクは高まり、地域の流行拡大を加速、深刻化させる。農村部には優先的に注意を払う必要があり、関係当局は医薬品を準備し、対策を強化する必要がある」と訴える。
全国的に新たな感染ピークが来るかどうかはともかく、春節シーズンに農村部への感染拡大を警戒すべきだという点では専門家の意見は一致している。
3年ぶりに移動制限のない春節を迎える中国。ゼロコロナ政策が大幅に緩和されても庶民の心配のタネはつきそうにない。(c)東方新報/AFPBB News