【1月19日 CNS】中国・新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)には「ムサラス」という有名なワインがある。新疆農業大学(Xinjiang Agricultural University)ブドウ現代産業学院の楊興元(Yang Xingyuan)院長は「ムサラスは非常に伝統的な特徴のあるワインであり、地元の人々は醸造過程で寄生植物のニクジュヨウ、ハトの血、鹿の角、クコの実、サフランなど滋養効果のある漢方薬を加えることが多い」と紹介する。

 新疆医科大学(Xinjiang Medical University)と新疆ウイグル自治区アーバード県(Awat)科学技術協力プロジェクトの報告書「ムサラス機能成分分析と薬力学研究」によると、ムサラスには体の免疫機能を高め、体を強化し、腎臓を強化し、アンチエイジング、血液循環とうっ血の除去、血中脂肪の低下、その他多くの健康促進機能がある。

「ムサラスの故郷」として知られるアーバード県では、大半の家庭は今でも伝統的な方法でムサラスを醸造している。家庭によって造られる酒は一つとして同じではなく、醸造技術やワインの味わいはそれぞれ異なっている。

 ムサラスは「中国ワインの生きた化石」と呼ばれており、2007年に新疆ウイグル自治区の無形文化遺産リストに入った。

 アーバード県政府は生産企業を組織してムサラス協会を設立し、新疆医科大学、新疆理工学院(Xinjiang Institute of Technology)、タリム農業大学(Tarim University)などの大学と協力して、「古代の醸造技術」を近代化するため、ムサラスの醸造技術と製品の研究開発プロジェクトを実施している。同時に、県が投資して、ムサラス醸造技術の継承に関するトレーニングや理論セミナーを開催している。

「アーバード県のムサラス産業は、それぞれが生産、販売するものから、政府が主導し、企業が生産する近代的な開発経路へと徐々に移行している」。アーバード県ムサラス協会の王亜力(Wang Yali)会長はこう話す。

 現在、アーバード県には一定規模の加工企業が8社、家庭などの小規模工場が120以上あり、40種類以上のブランドがある。同県の年間生産量は約5000トン。北京市、上海市、広州市(Guangzhou)などの大都市に出荷されている。(c)CNS/JCM/AFPBB News