■救出作戦

 プリミティーボ・サンツアリオスは、馬術界で知り合った友人同士、パブロ・アモリン(Pablo Amorin)さんとマルティン・エッロ(Martin Erro)さんによって約3年前に開設された。2人はこれまでに250頭余りの馬を救出し、国内数十か所の農場に引き渡してきた。

 アモリンさんはAFPの取材に対し、不要となった馬を国内各地から集めて太らせてから食肉処理業者に販売している畜産農家と連絡をとっていると説明した。初めは「処理施設に行って直接馬を買おうとしたが、断られた」という。

 そこで立ち回り方を変えた。馬を購入するだけの資金や場所が用意できたら、畜産農家に次の出荷がいつになるかを聞き、自分たちが何頭買いたいのかを伝えるようにした。畜産農家は快く支援してくれるという。

■「大部分が冷蔵庫行き」

 ウルグアイは「牛の国」だ。主要輸出品は牛肉で、人口350万人の1人当たりの飼育数は3頭を超えている。これは世界で最も多い。

 一方、馬の飼育数は約50万頭で、人口7人当たり1頭となっているとウルグアイ馬獣医学協会(Uruguayan Equine Veterinary Association)は説明した。

 また、ウルグアイ食肉協会(INAC)によると、21年に食肉処理された馬は5万8152頭で、前年比61%増と、過去10年間で最多となった。

 INACによると、21年の馬肉輸出量も増加し、輸出額は約2880万ドル(約37億円)に達した。22年の輸出はさらに拡大している。

 ウルグアイでは牛肉は安価で、馬を食べることは冒涜(ぼうとく)的な行為とされている。しかし、ウルグアイ産の馬が海外で食べられているという事実は公然の秘密だ。

 人類学者のグスタボ・ラボルデ(Gustavo Laborde)氏はAFPの取材に対し「私たちの文化において、馬は象徴的な価値を持っている」と述べた。

 しかし、馬を「気高い動物」と見なす一方で、「大部分の馬が冷蔵庫行き」という現状に目をつぶり、馬肉を嫌厭(けんえん)するのは「偽善的な行為」だと、ラボルデ氏は批判した。(c)AFP/Gabriela VAZ