【12月29日 AFP】パキスタン北西部で、強姦(ごうかん)罪で有罪判決を受けた男が、長老会議の仲介した和解により被害者と結婚したことを受け、釈放された。男の弁護人が28日、明らかにした。権利活動家は、女性に対する性暴力を合法化する決定だと批判している。

 ダウラット・カーン(Dawlat Khan)被告(25)は今年5月、聴覚障害者の女性をレイプしたとして、カイバル・パクトゥンクワ(Khyber Pakhtunkhwa、旧北西辺境)州ブネル(Buner)地区の下級裁判所により終身刑を言い渡された。だがペシャワル(Peshawar)高裁は、被害者の家族が裁判外の和解に同意したことを受け、カーン氏の釈放を命令。同氏は26日に自由の身となった。

 弁護人のアムジェド・アリ(Amjad Ali)氏がAFPに語ったところによると、カーン氏は被害者の女性と親戚関係にあった。未婚だったこの女性が今年出産した後に身柄を拘束され、親子鑑定により子どもの実父であることが確認された。

 同国では、女性が二流市民扱いされることが多く、レイプ事件の刑事責任追及が極めて困難であることで知られている。被害者に対する偏見から、事件が通報されることはほとんどない。

 裁判になった場合でも、警察や検察のずさんな対応や、裁判外の和解により、有罪判決が出ることはまれ。社会的弱者の女性に法的支援を提供している団体「アスマ・ジャハンギール法律扶助組織(Asma Jahangir Legal Aid Cell)」によると、レイプ裁判の有罪率は3%に満たないという。(c)AFP