【6月25日 AFP】元クリケット選手でプレーボーイとして名をはせたパキスタンのイムラン・カーン(Imran Khan)首相が、レイプの原因は女性の「露出の多い服装」にあるという趣旨の発言をしたことで、人権団体などが批判を強めている。

 カーン氏はテレビ番組「アクシオス(Axios)」に出演。国内でのレイプなどの性暴力のまん延について問われると、「女性が露出の多い服装をしていれば、ロボットでもない限り、男性は影響を受ける。常識だ」と英語で答えた。

 しかし、大多数の女性が控えめな民族衣装を着ているパキスタンで、「露出の多い服装」がどのような服装を指すのかは詳しく説明しなかった。

 これを受けて、パキスタン人権委員会(HRCP)など10以上の人権団体が24日、合同で公開書簡を提出し、謝罪を要求した。「恐ろしいほどの単純化で、女性は『承知の上の』被害者で、男性は『どうすることもできない』加害者という共通認識をさらに強固なものにするだけだ」

 公開書簡に署名したパキスタン労働教育研究所(PILER)のカラマット・アリ(Karamat Ali)所長は、「レイプ、ソドミー(反自然的性交)、痴漢の犯人を免責するものだ」とAFPに語った。

 先週末には、カラチ(Karachi)やラホール(Lahore)などの大都市で、抗議デモも行われた。

 カーン氏は4月にも、女性に露出の少ない服装をして男性を誘惑しないよう助言し、「あきれるほど無知」だと人権団体などから非難を浴びた。首相府広報室は後に、誤って解釈されていると釈明した。

 パキスタンは極めて保守的なイスラム国家で、男女平等度ランキングは常に世界最低レベル。性暴力の被害者を疑いの目で見る傾向があり、警察に被害を訴えても本格的な捜査が行われることはまれだ。国民の大半は「名誉」を重視する社会規範を守り、一族の「恥」とされた女性が暴力を振るわれたり、殺害されたりすることもある。(c)AFP