【12月27日 AFP】オリハ・ホンチャロワ(Olga Goncharova)さんが館長代理を務めるウクライナ南部ヘルソン(Kherson)の歴史博物館で、粉々になった展示ケースや空になった棚が、ロシア軍による略奪被害の大きさを際立たせている。

 ロシア軍が先月、8か月間に及ぶ占領を終えてヘルソンから撤退して以来、ホンチャロワさんは被害や盗難の状況をまとめようとしている。同博物館で40年間勤務してきたホンチャロワさんは「心臓を刺される思い」で作業していると吐露。無残な姿になった展示室で、AFP記者に「これを見た時、恐ろしいほどの衝撃を受けた」と語った。

 ホンチャロワさんは「この破壊行為の例から、ロシア人が言うような偉大なロシア文化など存在しないのだと、非常にはっきりと、まざまざと思い知らされた」と証言。ロシア兵はなぜ「博物館に対してこれほどまでに残酷なことができたのか」と訴えた。

 国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は今週、ヘルソン州立博物館(Kherson Regional Museum)はロシア軍によって広範囲に略奪が行われた市内の四つの文化施設のうちの一つだと発表した。同博物館の他には、ヘルソン州立美術館(Kherson Regional Art Museum)、聖カテリーナ大聖堂(St Catherine's Cathedral)、ヘルソン州国立公文書館(Kherson Region National Archives)が含まれる。