【11月14日 AFP】ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は13日、南部ヘルソン(Kherson)を奪還したウクライナ軍が、ロシア占領軍の戦争犯罪を示す多数の証拠を新たに発見したと明らかにした。

 ゼレンスキー氏は夜の演説で、「ロシア軍は他の地域と同様の残虐行為を残していった」「すでに400件以上の戦争犯罪が記録されている」と述べた。犯罪行為がどこで行われたかには言及しなかったが、「民間人、軍人を問わず、犠牲者の遺体が見つかっている」とし、殺害に関与した者を見つけ出して裁くつもりだと語った。

 同氏はまた、地雷の除去作業中に1人が死亡、4人が負傷したと明かした上で、「ヘルソン州の状況はまだ危険だということを忘れないでほしい」と訴えた。

 ロシア軍によって水道、電気、インターネット、テレビ回線、交通網、郵便などの重要インフラが破壊されており、早期の復旧へ向け作業を進めていると説明した。

 一方、ヘルソン市民の間には、数か月にわたった占領が終わったことで深い安堵(あんど)が広がっている。ただ、ロシア軍が撤退前に地雷を埋設し、略奪の限りを尽くしていったとの証言もある。動物園の動物まで盗まれたという。

「神罰が下るだろう。彼ら全員に、連中の行いすべてに対して」と、スビトラーナ・ビルナさん(47)は語った。

 セルヒー・ザティルコさん(65)はロシア兵を「豚」と呼び、大量のごみを残していったと非難。「一刻も早く全部片付けて、あの獣どもを忘れたい」と話した。

 市内では食料の配給に行列ができ、大人も子どももウクライナ国旗を肩にかけて歩いている。市中心部の広場には米インターネット通信衛星サービス「スターリンク(Starlink)」のアンテナが設置され、親族と連絡を取ろうと人々が集まった。

 ウクライナ軍によると、ロシア軍は13日現在、ドニエプル(Dnieper)川東岸に防衛陣地を築いている。同日夜には西岸へ向けて地対空ミサイルが発射されたが、死傷者は出なかったという。(c)AFP