【12月23日 AFP】米ハリウッド(Hollywood)で映画プロデューサーをしていた米国人のホップウッド・デプリー(Hopwood DePree)さん(52)は子どもの頃、英国の片田舎に先祖伝来の邸宅があると祖父から聞いた。ただ、ずっと昔話の類いだと思っていた。

 2013年のある晩、家系図のウェブサイトを眺めていたところ、イングランド北西部の田園地帯にある15世紀の邸宅の写真を見つけた。赤れんが造りで、部屋数は60室。「なんてことだ。祖父が話していた場所だ」とピンときた。

 その邸宅は「ホップウッド・ホール(Hopwood Hall)」と呼ばれていた。デプリーさんがいつも恥ずかしく思っていた、代々受け継がれてきたファーストネームの由来が判明した瞬間だった。

 間もなくしてデプリーさんは「好奇心から」飛行機に乗り、ホップウッド・ホールを訪ねる旅に出た。

 到着早々、幸先の良くない発見が相次いだ。玄関の扉を開けるとネズミがそこらを走り回っていて、屋根は一部が崩れていた。だが、ロサンゼルスから来たデプリーさんは、在りし日のままの煙突や扉、先祖が産声を上げた子ども部屋といった歴史に囲まれ、「感動」を覚えた。

 案内役を務めた地元の人々は、「あと5~10年も放置すれば崩れて廃虚と化し、永遠に失われるだろう」と警告した。

 邸宅の所有者はデプリーさんの遠い親戚だったが、息子は2人とも第1次世界大戦(World War I)で戦死し、後継ぎのないまま亡くなった。第2次世界大戦(World War II)中は軍服工場として使われ、その後は修道院となったが、ここ数十年間は空き家だった。

 2017年、デプリーさんは米カリフォルニア州から英マンチェスター近郊に移住。荒廃した邸宅にかつての栄光を取り戻すため、修復プロジェクトに乗り出した。