【12月20日 東方新報】「私はスキーができませんが、子どもが好きなので一緒に遊びに来ました。」

 そう話すのは北京市郊外、八達嶺(Badaling)にあるスキー場に子どもを連れて来ていた女性。八達嶺は万里の長城(Great Wall of China)が築かれた山であり、観光地としても有名だ。北京市内から1時間半ほどのドライブの間、子どもははしゃぎっぱなしだったという。

 スキー場の担当者は、今年はわざわざレンタル用のスキーやブーツを買い替えて一新したと明かす。

「コロナが収まるにつれ、客足が戻ってくると信じていますよ」

 日に日に寒さを増し、今年の冬も本番に入った。コロナ禍以来、中国ではこれまで厳しい行動制限などを伴うゼロコロナ政策が敷かれたため、レジャー業界には苦しい時期が続いたが、この冬は冬季オリンピック北京大会が2月に閉幕してから初めての冬でもあり、ウインタースポーツの盛り上がりが期待されている。そうした中、中国政府が12月7日に新たに打ち出したコロナ対策によって、陰性証明の提示義務などが大幅に緩和され、移動制限はほぼなくなった。

 北京中心部から約75キロ離れた山間部に築かれたオリンピック会場、延慶(Yanqing)のオリンピックパークはすでに一般に開放されている。主要施設の国家アルペンスキーセンターでは11月から開放されていたものの、コロナ対策のため受け入れ人数が制限され、なかかなか予約が取れなかったという。政府のコロナ対策の緩和を受け、ここでも12月10日から受け入れ人数が大幅に拡大された。

「国際基準のコースを滑ってみたいと思っていました。滑り出しから気持ちよく、土日の2日間、続けて滑りました。病みつきになりましたよ!」

 そう話すのは北京市内の海淀区(Haidian)から滑りに来たという女性。朝は結構人が多いと思ったそうだが、とにかくスキー場が大きいので広々と使えて満足したそうだ。

 オリンピック本番に使われたコースはさすがにハードルが高いというビギナーや家族連れ向けにはオリンピックパーク周辺に簡単なコースが設けられている。こちらは海抜も低く気温も比較的高いためまだ雪の量が十分ではない。人口雪を準備した上で12月下旬頃開放の予定。

 規制が緩和されたとしても、やはりコロナの予防措置は欠かせない。

 オリンピックパークの入場やホテルの宿泊にPCR検査の陰性証明を掲示する必要はないが、レストランの店内で食事をする際には、行動履歴などが反映される「健康コード」と48時間以内の陰性証明の掲示が必要。パーク内ではマスクを着用し、並ぶ時には1メートル以上間隔を空けるなど基本的な対策が呼びかけられている。

 コロナ禍の影響で、目下のところは市民にとってのレジャーは近場が人気のようだ。中国各地のスキー場でも、夜間の営業時間を延長したり、家族全員、老若男女が楽しめるようなスキー以外の娯楽を含めたセット料金を設定したりと、地元客を取り込むためのさまざまな工夫をしているという。(c)東方新報/AFPBB News