【12月16日 AFP】3年にわたる厳格な新型コロナウイルス規制が緩和された中国で、全国で感染が急拡大し、医療崩壊の懸念も広がっている。

 国家衛生健康委員会(NHC)は14日、国内の大半の場所で検査が強制されなくなったため、公表数は実態を反映していないと認め、感染状況を把握することはもはや「不可能」との見解を示した。

 中国では2020年初旬のコロナ流行初期、病院には重症者があふれ、医療従事者も多数感染し大混乱となった。現在、同国の医療システムは、その時以来の困難に直面している。

 ワクチン接種が完了していない高齢者が数百万人にいることに加え、医師らの労働環境も悪化しており、医療崩壊の懸念が広がっている。

 人手不足で医学生が現場に駆り出されることも増えている。

 四川(Sichuan)、江西(Jiangxi)両省では今週、多数の医学生が低賃金や現場の不適切な感染防止対策に抗議するデモを行った。

 国家衛生健康委員会は15日、人手不足を解消するため、引退から5年以内の医師を再雇用することを提案した。

 四川省の地方の病院で働くある医師は、同僚の「半数以上」が新型コロナに感染したが、もはや通常のPCR検査をしていない病院も多いとAFPに話した。この医師の働く病院では、規制緩和後に感染者が倍増したという。

 国営メディアや医療専門家らは、軽症の場合は自宅療養し、市販薬を飲むよう呼び掛けているが、都市部では市販薬の入手がほぼ不可能となっている。

 薬局の棚は空で、長い列ができている。インターネット検索大手「百度(バイドゥ、Baidu)」によると、解熱薬「イブプロフェン」についての検索が過去1週間で430%増加した。

 一部の高齢者介護施設や工場は感染拡大を受け、職員を実質的に建物内に閉じ込め寝起きさせる「クローズドループ」を導入すると発表した。これにより、当局が予告なくロックダウンを実施しても業務を続けることができるという。(c)AFP